地震防災総合研究特別研究委員会(第V期)
(第1回) 議 事 録
A.日 時 2001年5月16日(水)14時00分〜16時00分
B.場 所 建築学会307会議室
C.出席者 委員長:直井英雄君
幹 事:高見沢実君 翠川三郎君
委 員:岩井 哲君 小谷俊介君 坂本 功君 鈴木 有君 西川孝夫君
濱田信義君 峰政克義君 源栄正人君
(記録:鴫原 毅)
D.提出資料
資料No.01-1 地震防災総合研究特別研究委員会(第U期)活動報告
資料No.01-2 地震防災総合研究特別研究委員会(第V期)
−地震防災に関する総合的研究−
資料No.01-3 各小委員会設置申請
・ 危険度・耐震安全性能評価小委員会
・ 都市防災・復興方策検討小委員会
・ 防災改善推進方策小委員会
資料No.01-4 各小委員会委員公募用紙原案について
資料No.01-5 2001年度大会(関東)記念事業「日本の大都市はどこまで安全か」
開催について
委員会開催に先立ち、直井委員長より挨拶と各委員の紹介がなされた。
E.審議事項1.地震防災総合研究特別研究委員会(第U期)活動報告(資料No.01-1)
西川委員(地震防災総合研究特別研究委員会(第U期)委員長)より、第U期の委員会活動
報告と第V期特別研究委員会の継続設置について以下のような報告がなされた。本会では
兵庫県南部地震以後「総合防災研究」を横断的に取り組む必要性から、特別研究委員会を
設置、研究課題に取り組んできた。とくに第U期の委員会では「第三次提言」で問題提起され
た4つの重要課題についてそれぞれに対応した小委員会を設置のうえ研究を行ってきた。(各
小委員会活動報告資料参照)
・3年間の各課題の活動成果は去る5月9日に開催された公開シンポジウムで総括されたが、
とくに「総合的な耐震性能の評価法の研究」で「建物の安全性能評価」に焦点を絞り討論を行
った。
・第V期特別委員会では、さらにこれらの課題に焦点を絞り研究を行っていただくために、第U
期の4つの小委員会を3つの小委員会に再編し、主査、委員構成も一新し横断的な分野で研
究することを目的に3つの研究項目を提案した。
・第U期の各小委員会の成果報告書は本会の図書館で公開されることになっている。
2.地震防災総合研究特別研究委員会(第V期)
研究課題 −地震防災に関する総合的研究−(資料No.01-2)
直井委員長より、西川前委員長の研究課題を受けて第V期の委員会活動以下のように実施
することの報告がなされた。
(1)研究項目:
1)危険度・耐震安全性評価の総合的な研究(危険度・耐震安全性評価小委員会)
2)都市防災・復興方策の総合的な研究(都市防災・復興方策検討小委員会)
3)都市の防災改善推進方策の総合的な研究(防災改善推進方策小委員会)
(2)小委員会主査:
1)危険度・耐震安全性評価小委員会 翠川三郎(東京工業大学)
2)都市防災・復興方策検討小委員会 高見沢実(横浜国立大学)
3)防災改善推進方策小委員会 古瀬 敏(独立行政法人 建築研究所)
(3)研究期間:
2001年4月〜2004年3月(3ヶ年間)
(4)予算:総額600万(年間200万×3年間)
(5)小委員会委員構成:
各小委員会委員構成を以下のように承認した。また本委員会委員は各小委員会に参加
することとした。
□危険度・耐震安全性評価小委員会
主査 翠川三郎(東京工業大学)
委員 井上 豊(日本建築総合試験所)
石井 透(清水建設)
上谷宏二(京都大学)
小谷俊介(東京大学)
片岡俊一(弘前大学)
釜江克宏(京都大学)
久保哲夫(名古屋工業大学)
工藤一嘉(東京大学)
塩原 等(東京大学)
島崎邦彦(東京大学地震研究所)
富松太基(日本設計)
直井英雄(東京理科大学)
濱田信義(濱田防災研究室)
山根尚志(日建設計)
吉田克之(竹中工務店)
吉村英祐(大阪大学)
□都市防災・復興方策検討小委員会
主査 高見沢実 (横浜国立大学工学研究院)
幹事 糸井川栄一 (筑波大学)
幹事 吉川 仁 (防災&都市づくり計画室)
幹事 中林一樹 (東京都立大学都市研究所)
饗庭 伸 (東京都立大学)
大西一嘉 (神戸大学)
熊谷良雄 (筑波大学)
佐土原聡 (横浜国立大学環境情報研究院)
佐藤隆雄 (日本システム開発研究所)
塩崎賢明 (神戸大学)
高見沢邦郎 (東京都立大学)
室崎益輝 (神戸大学)
村尾 修 (筑波大学)
山本俊哉 (マヌ都市建築研究所)
□防災改善推進方策小委員会
主査 古瀬 敏(独立行政法人建築研究所住宅・都市研究グループ)
委員 大橋好光(熊本県立大学環境共生学部)
岡田恒男(芝浦工業大学)
川合廣樹(EQEインターナショナル)
神田 順(東京大学)
小松幸夫(早稲田大学)
坂本 功(東京大学)
鈴木祥之(京都大学防災研究所)
鈴木 有(秋田県立大学木材高度加工研究所)
中島徹也(横浜市総務局災害対策室防災技術課)
西澤英和(京都大学)
松本光平(明海大学不動産学部)
峰政克義(住宅総合研究財団)
村上處直(防災都市計画研究所)
WG1:対策支援の社会システム:
WG2:木造住宅の耐震補強方策:
WG3:地域の危険度評価
3.小委員会設置申請について(資料No.01-3 )
各小委員会設置について、各主査より以下の設置目的、事業計画等について報告がなされ
た。
1)危険度・耐震安全性能評価小委員会(翠川主査)
(1)設置目的:地震災害の軽減に関する研究は、いままで構造、計画などの各分野に分かれて
縦割り的に行われてきた傾向があることは否めない。しかしながら、地震災害は、地震発生
から地震動の発生、建物の応答、建物被害、建物内容物被害、人的被害など多岐にわたる
問題を含んでいる。本小委員会では、建物の耐震安全性の向上のための方策のひとつとし
て、大地震発生や強震動の評価結果を積極的に取り入れて建物の適切な安全レベルを選
定するための方法や手順を提案することを目的とする。
(2)事業計画
初年度:・地震発生の長期評価結果などの咀嚼
・地震動強さと実被害の関係
・一般市民の各種被害のイメージ、被害の受容
2年度:・必要とされる地震動情報
・耐震メニューへの地震情報の取り込み方
3年度:・地震情報を取り込んだ総合的な耐震メニューの提案
2)都市防災・復興方策検討小委員会(高見沢実)
(1) 設置目的:阪神・淡路大震災から6年余が経過した。いまだその傷跡は癒えていないが、この
間、国内外において新たな中・大規模地震が頻発している。しかし、一時的に高まった災害に
備える意識も薄れがちであり、財政悪化や活力低下などの社会経済の変化によって、被害軽
減のための木造密集市街地整備等の継続的な取り組みが困難になっている。本小委員会
は、こうした状況を打開し、持続的かつ発展的な都市防災・復興研究をすすめるために設置
するものである。従来の「都市構造防災化小委員会」における成果と積み残しの課題を踏まえ
つつ、「都市防災システム小委員会(都市計画委員会)」や「日本都市計画学会防災・復興研究
委員会」などと連携をとりながら、より実践的な検討を行う。主要な課題は以下の3点である。
@ 防災をテーマとする平時の都市計画と、復興をテーマとする復興都市計画それぞれのシステ
ムとしての充実と関係性の模索
A 大規模災害時の計画・制度・プログラムが有効に機能するための課題の整理と事前準備
B災害に備える地域住民組織・まちづくり専門家・情報技術のあり方
3つの主要テーマを中心に逐次具体的検討テーマを設定し、公開研究会を基本としながら継
続的に検討していく。
(2) 事業計画:
初年度:平時の都市計画と復興都市計画に関する研究
2年度:大規模災害時の計画・制度・プログラムに関する研究
3年度:災害に備える地域住民組織・専門家・情報技術に関する研究
3)防災改善推進方策小委員会
(1) 設置目的:実効ある防災改善方策を推進する手法を検討し、提案につなげる。基本的な考え
方や アイデアはすでに多くが洗い出されており、それぞれの効用と難点を検討し、問題解決
への道筋を探る。またすでに出されているアイデアに対しては、関係者それぞれに利害が絡
むため、それを総合的に評価してありうべき案を提示するのは中立的な学会の役割である。
提案を絞り込んでも即座に実行に移せるものではないが、実際に提案が政策に取り入れられ
効果があがるためには時間がかかるので、関東圏などでの地震危険を考えれば、できるだけ
早く動きだす必要がある。
(2)事業計画:
初年度:基本的アイデアの再検討(とくに木造住宅については、現状を把握することから始める
(耐震性能、耐震診断や改修実績など)
2年度:検討継続(木造住宅に関してはデータを検討するとともに実際的な手法を検討する。)
3年度:実効を考えた提案をまとめる。とくに政策に反映させる方法を考える(耐震改修促進法の
活用など)。
(3) WG設置について
WG1:対策支援の社会システム
WG2:木造住宅の耐震補強方策
WG3:地域の危険度評価
4.小委員公募について(資料No.01-4)
各小委員会の活動計画に基づき、委員公募を実施することとした。公募書式に則り原稿の提出
を5月末日事務局とする。
5.2001年度大会(関東)記念事業「日本の大都市はどこまで安全か」開催について
(資料No.01-5)
西川委員より、21世紀初頭の大会を東京大学で開催するが、その記念事業の一つとして本委
員会支援のもと、岡田会長をコーディネーターにパネルディスカションを開催することとした。ま
た他に5課題の記念事業を開催するが、周知を含め各委員の協力を得たい旨報告がなされた。
6.その他
特別研究委員会の研究成果等の情報公開について次のような意見があった。
・ 特別研究委員会の活動はオープンになってきたが、その成果報告はまだまだ学会の中だけに
留まっているような気がする。とくに現場にいるとその成果を反映させたくとも入手しにくい。
それに一般市民が利用出来るような成果物にならないか。また自治体、技術者も容易に使える
ものにならないと困る。研究成果の情報発信のあり方と、その情報も分かりやすい形で使えるも
の、役に立てるものを発信していただきたい。例えば今回提案された、「耐震メニュー」などは是
非とも一般に公開することを検討してほしい。また公開シンポジウムなどの成果も公開されると
よい。
→各委員会のホームページがあるので、各小委員会の活動報告は是非してほしい。また「耐震メ
ニュー」は原稿が全て電子ファイルになっているので公開するようにする。
なお「耐震メニュー」の資料は全委員に配布することとした。
7.次回開催について
直井委員長より、今後の本委員会開催について、
・ 活動主体は各小委員会とし、本委員会は全体の調整をする。
・ 本委員会開催は、年3〜4回程度とし、とくに各年度の終わりには公開シンポジウム等を開催し
総括する。
次回開催
日 時:10月10日(水)14:00〜16:00
場 所:建築学会会議室
議 題: 1)各小委員会中間活動報告
2)次年度活動計画について
3)その他