地震防災総合研究特別研究委員会
危険度・耐震安全性評価小委員会(第11回)議事録
A.日 時 2003年1月23日(木) 14時00分〜17時00分
B.場 所 建築学会302会議室
C.出席者 主査:翠川三郎
幹事:池田浩敬,片岡俊一
委員:諸井孝文,山根尚志,吉田克之,井上 豊,石井 透,
竹脇 出(上谷宏二代理) (敬称略)
(記録担当:片岡俊一)
D.提出資料
資料No.11-1
地震防災総合研究特別調査委員会(第V期)(第7回)議事録(案)(事務局提出)
資料No.11-2
建築物荷重指針(改訂案)第7章(石井委員)
資料No.11-3
耐震メニュー構成概念図に対する課題の整理(諸井委員)
資料No.11-4
地震動レベル・建物被害レベルと耐震等級の関係(山根委員)
資料No.11-5
「安全レベル」表現のブラッシュアップ(片岡)
資料No.11-6
地震防災に関する総合的な対策の確立に向けて
・2003年度大会地震防災総合研究部門研究協議会(事務局提出)
資料 第10回危険度・耐震安全性評価小委員会議事録(案)
E.審議事項
1. 前回議事録の確認
池田幹事より説明があり,一部字句を修正の後承認された.
2.地震防災総合研究特別研究委員会における審議内容報告
資料No.11-1,11-6に基づき,主査から親委員会におけるの審議内容の紹介があった.主な審議事項は以下のとおり.
(a) 3小委員会の活動状況
(b) 今後の活動
・3月19日に開催される活動報告の内容を活動報告の基になるようにする.
・3月19日の活動報告,東海大会の研究協議会を経て,最終的には提言のような形で社会に情報発信をしたい.
・研究協議会のテーマにサブタイトルをつけることにしたので,小委員会委員各位にも案を寄せてほしい.
(c) 委員会継続についての意見交換
3.「建築物荷重指針(改定案)」について
資料No.11-2に基づき,石井委員から現在建築学会で検討中の荷重指針についての紹介があった.
・改定作業中の荷重指針から,本小委員会に関連する地震荷重の部分を持参した.
・地震については,北海道大学の石山先生を主査として検討しており,昨年の大会でも紹介している.
・荷重指針全体として,今年の末までにまとめる予定になっている.
・地震動に関連する特記すべき事柄としては,新たに設計用地震動の項をもうけたことが挙げられる.
主な討議事項は,つぎのとおり.
・当小委員会の進んでいる方向と違いはないのか.
→基本的な違いはないと考えている.
・基本加速度マップは掲載するのか.
→掲載する予定である.一例としてでも掲載しないと,具体的に地震動が設定できないという問題があるので
掲載する.
・地震入力位置はどこになるのか.地表の地震動は計算できるのか.
→入力設定位置はモデル設定によって異なる.詳細な方法による工学的基盤での地震動波形
(設計用地震動)の求め方も含めて解説にもう少し詳しく載る予定である.
・用いられている語句が一部気になる.「相互作用」という言葉が示す内容が用いられてい る箇所によって
違っている.また,「ねじり振動」は「ねじれ振動」であろう.
→意見はもっともであるので,担当者に伝えておく.
4.「耐震メニュー2001」の見直しについて
(1) 諸井委員の資料No.11-3の説明の後に討議が行われた.
○前回提出した資料(No.10-06)の問題点を整理したものである.
○3次元表示した場合の地震ハザードの面であるが,シナリオ地震を考慮した場合には,この面が2階建て
のようになるのが良いのではないか.
→表現方法を検討する.あるいは,「地震動モデル」という面も考えられるかもしれない.
○安全レベルのフェーズの表現では,右側に行くほど地震動の強さが強くなるような表現が良いと思われる.
○地震発生確率の表現は,建築基準法の表現と整合させる必要があろう.
○耐震等級をグラデーション表現しているが,基準法以下までグラデーションする必要はないのではないか?
→基本的には基準法以下は不連続となるのが良いのであろう.
(2) 山根委員から資料No.11-4を紹介してもらい,討議を行った.
主要な追加説明事項:
○「耐震メニュー2001」は,中損レベルを目標として設定されているという前々回の濱田幹事が提出された資
料を踏まえ,横軸に再現期間も記入した.
○作業手順としては,中損レベルの設定,基準法のレベル,超高層のレベル1,超高層のレベル2,免震の
レベル2の順に,地震動強さと被害レベルの座標上にプロットし,それをグループ化した.
○中損レベルで見た時の耐震等級3級と2級の区分は480cm/s/sであるが,これは資料第1ページの区分と
対応している.一方,耐震等級2級と1級の区分は対応していない.
○横軸を対数表示すると数百ガル領域での区別がし難いので,対数表示は適当ではない.
討議事項:
○縦軸の建物被害レベルは,「無被害」,「軽損」,「中損」,「重損」に軸の目盛りがふられているが,被害は
範囲を示すものなので,領域で示した方が良いと思われる.
→語句を半分下におろせば良い.
○最初の図に耐震等級の枠の中にB,S,Aというマークが入っているが,マークを入れる必要なないのではない
か.あるいは,このままであればハザードを固定したと考えることは可能である.
○最初の図のAは,超高層のグループに含まれているが,超高層とは関係なく,安全レベルから求まったもの
であろう.
○「耐震メニュー2001」の被害段階の定義を見直す必要もあるかもしれない.
→十分審議された結果と考えられるので,とりあえずこの定義に基づいた方がよいと思われる.
(3) 片岡が資料No.11-5を説明し,討議を行った.主な指摘事項は以下のとおり.
○重損に対応する説明語句としては,「人命保護」は削除した方が良い.
○無被害の定義は難しいが,「地震後何もしなくても使用できる」というニュアンスの表現にすれば良い.
○「地震」と「地震動」ときちんと区分し,両者をつなぐ説明をすべきである.
5.今後の活動について
親委員会での討議を踏まえて設置期限以降(2003年度以降)の活動についての討議を行った.主な意見は
以下のとおり.
○本小委員会の検討範囲に関しては,とりあえず終了としてもいたしかたないであろう.
○本小委員会の設置期間には,地震動予測地図の作製は間に合わないが,これは常に差し替えがきくもので
あると考えれば良い.
○本小委員会で検討した内容を討議できる常置委員会はある.
○6年間検討した耐震メニューを学会としてどのように位置づけるかが問題であろう.
→考え方としては色々ある.例えば,学会お勧めのメニューという考えもあるし,性能設計が分かる ツールという
考えもある.
6.次回日程と内容
(a) 次回を2003年4月4日(金)14:00〜17:00 とした.
(b) 次回の主たる討議事項
1) 耐震メニューに関する検討
2) そのほか,耐震メニューに関しての意見
以上