地震防災総合研究特別研究委員会
危険度・耐震安全性評価小委員会(第12回)議事録
A.日 時 2003年4月4日(金) 14時00分〜17時00分
B.場 所 建築学会306会議室
C.出席者 主査:翠川三郎
幹事:濱田信義、片岡俊一、池田浩敬
委員:
井上 豊、小谷俊介、源栄正人、吉田克之、山根尚志 (敬称略)
(記録担当:池田浩敬)
D.提出資料
資料No.12-01 第7回震災対策技術展関連講演会「どう活かす地震の教訓―地震情報の正しい理解と活用―」講演記録(片岡幹事)
資料No.12-02
地震防災に関する総合的な対策の確立に向けて―
地震防災総合研究特別調査委員会活動報告―(平成15年3月19日開催の報告会資料)
資料No.12-03
地震防災総合研究特別調査委員会活動報告記録(片岡幹事、池田幹事)
資料No.12-04
シナリオ地震に対する安全レベルの設定について(翠川主査)
資料No.12-05 「安全レベル」表現の見直し#2(片岡幹事)
資料 第11回危険度・耐震安全性評価小委員会議事録(案)
E.審議事項
1. 前回議事録の確認
片岡幹事より説明し、承認された。その他、前回の討議の内容について、以下の意見があった。
・ 議事録p2の4.(2)の2つ目の○に、「…基準法のレベル、超高層のレベル1、2、免震のレベル2の順に…
プロットし…」とあるが、公の立場から言えば超高層の告示と基準法は、入力も求めている性能も同じである。
ただ、評価機関において、入力25カイン、塑性率2といった条件が示されているだけである。
→建前と本音の部分があるが、ここでは実態ベースでの比較を試みた。耐震メニューにおける
表現の工夫は必要かと思う。
2. 第7回震災対策技術展関連講演会の記録について
資料No.12-01に基づき、片岡幹事より説明があった。
・ 本小委員会が中心となって企画した第7回震災対策技術展関連講演会(2/7横浜開催)の記録を
片岡幹事が作成した。建築雑誌に載せることとなった。
3.
地震防災総合研究特別調査委員会活動報告について
資料No.12-03に基づき、報告会での質疑の内容について片岡幹事より説明があった。
・耐震メニューに関連しては、「耐震メニューが一般の人には分かり難い。」「耐震等級区分の5段階は有意な
区分が可能か。」といった意見、質問があった。
記録案に対し、以下の修正事項が指摘された。
・ p3上から7行目「変動があるかを」→「変動があり得るかを」、同上から20行目「内閣府防災対応部門」→
「内閣府防災部門」。
山根委員より、標記活動報告会において行った本小委員会の活動報告の内容について再度説明してもらった。
・
この耐震メニューでは、地盤の増幅効果や応答の概念をどう扱っているのか。
→地盤の要素は、荷重指針のGaしか入っていない。従って周期の概念は入っていない。
→入力については、まず地表加速度に仮置きし、耐震メニューの全体フレームの検討を行ってきた。こうした個別
要素に関する検討を正に今後行う必要がある。
・
地震動の指標をせん断力に変換するステップが必要である。
・
地震ハザードの面に周期の概念を入れていく必要がある。
・
地盤の増幅の概念を入れるのは比較的簡単に思えるがスペクトルの概念をどう表現するかが難しい。
・
「設計」(耐震等級)の面の横軸を何にするかは大きな問題である。@単に地震動とすると設計が出来ない、
A応答にすると施主は分からなくなりコミュニケーション・ツールとしての機能が損なわれる可能性がある。
→3次元の面で見た場合、施主は「安全レベル」の面だけ理解出来れば良いと割り切れば、「耐震等
級」の面は応答でも構わないのではないか。
→施主とのやり取りは、必ずしも「安全レベル」の面だけに止まらないのではないか。
→耐震メニューは対話のツールであるため、設計者だけに理解できるのを作っても意味が無い。
・ 現行の基準法でも、例えば50年に一度の地震動を想定し工学的基盤でのスペクトルがこうで、地盤を考慮
すると地表ではこうなる、それに対し損傷度設計をするといった手順が踏まれている。つまり、地盤の増幅、
スペクトルという概念が入っている。これを踏まえれば、耐震メニューにおいても、これらの概念を取り込んでおく
必要がある。
・
「地震」と「地震動」を明確に使い分ける必要がある。現在はやや整理されていない部分がある。(地震発生
確率→地震動発生確率)
・耐震メニューは、施主(建築主)が理解出来ればよい。一般市民まで全て理解してもらわないといけない訳では
ないのではないか。
・
設計の入力として、「確率論的地図」、「シナリオ地震」のどちらを採用すべきかは、地域によって異なり一概に
は言えない。
4.
シナリオ地震に対する安全レベルの設定について
資料No.12-04に基づき、翠川主査より説明があった。
・
基本的には、まず確率論的地図を使って設計を行い、シナリオ地震による影響を受ける場合は、シナリオ地震
についても検討し、安全側をとるのであれば、両者の大きい方を入力として採用する、ということにな
るのではないか。
・
シナリオ地震の場合は、「安全レベル」の面の「地震発生確率」の軸を実質的には使わないため、同じ図の中に
表現するのは難しいのではないか。
・
シナリオ地震とは離れるが、「地震発生確率」は、50年だけでなく、100年といった他の期間の数値も分かる
ようにしておいた方が良いのではないか。
5. 「安全レベル」の表現の見直しについて
資料No.12-05に基づき、片岡幹事より説明があった。
・
設計の際の被害ランクと被害調査の際の被害ランクを統一あるいは対応がつくようにしておいた方が良い。
・
被害レベルの定義において、「機能被害のレベル」と「構造被害のレベル」は1対1に対応しないのではないか。
→実被害では対応していないが、設計目標としては分かりやすいように被害レベルをセットで考えている。
・「最強の地震動」という表現は分かり難い。
→言葉ではなく再現期間で定義した方がわかり易いかもしれない。
6. 次回日程と次回の検討内容
(ア) 次回を2003年6月2日(月)14:00〜17:00で開催することとした。
(イ) 次回小委員会での検討内容
@
委員会活動報告において挙げられた耐震メニューの課題の解決方策について(一部分でも)(山根委員)
A 安全レベルの表現について(片岡幹事)
B
地震動レベルの軸に地盤係数や応答スペクトルの要素を入れ込む方策について(源栄委員)
C
シナリオ地震に対する安全レベルの設定について
以上