地震防災総合研究特別研究委員会
危険度・耐震安全性評価小委員会(第13回)議事録


A.日  時  2003年6月2日(金) 14時00分〜17時00分
B.場  所  建築学会304会議室
C.出席者  主査:翠川三郎
        幹事:濱田信義、片岡俊一
        委員: 井上 豊、小谷俊介、源栄正人、吉田克之、竹脇出(上谷委員代理)、
            石井透、鎌田高造、福和伸夫、吉村英祐、諸井孝文(敬称略)
                                                   (記録担当:片岡俊一)
D.提出資料
 資料No.13-01 地震防災総合研究特別調査委員会(第V期)(第8回)議事録案(事務局)
 資料No.13-02 耐震メニュー概念図の更新(諸井委員)
 資料No.13-03 「安全レベル」表現の見直し#3(片岡幹事)
 資料No.13-04 既提案「耐震メニューの3次元的表現」の問題点と改正案について(源栄委員)
 資料No.13-05 耐震メニューについて(翠川主査)
 資料 第12回危険度・耐震安全性評価小委員会議事録(案)
 

E.審議事項
議事に先立ち、鎌田高造氏(文部省地震調査研究課)が中川勝登委員と交代した報告があり、鎌田委員が自己紹介を行った。

1. 前回議事録の確認
 片岡幹事が読み上げ、承認された。

2. 地震防災総合研究特別調査委員会の活動について
 資料No.13-01に基づき、翠川主査より説明があった。
・ 委員会の活動報告「地震防災に関する総合的な対策の確立に向けて」を東海大会の研究協議会として行う.
・ 「地震防災に関する総合的な対策の確立に向けて」の課題を提言とする。提言内容の具体的検討は研究協議会終了後に行う。
・ 本委員会の継続申請はしない。

3. 耐震メニューについて
 資料No.13-4、No.13-5、No.13-3、No.13-2の順に説明があった。討議の内容は、複数の資料にまたがるので、以下は資料個別の議論と全体の討議とを分けて記す。

(1) 既提案「耐震メニューの3次元的表現」の問題点と改正案について
資料No.13-4について源栄委員から説明があり、討議が行われた。
・ ハザードカーブから最大加速度を求め、最大加速度を周期0の値として応答スペクトルを作成し、さらに地盤増幅と建物応答の影響を含めて説明することを試みたものである。
・ 線形応答の範囲で考えている。
・ 構造物のタイプ毎に異なる可能性があるが、とりあえず提案したものである。
・ 地震力スペクトルを目指すと様々なものを組み込む必要がある。
・ 加速度の代わりに応答変位にするとよいのではないか。
・ 地盤増幅を考えている割には、例題の2地点で差が少ないと思うが?
→Rt曲線における地盤区分程度の差はあると思う。

(2) 耐震メニューについて
資料No.13-5について翠川主査から説明があり、討議が行われた。
・ 被害と地震動強さ、被害の定義については説明を別途用意する必要があろう。
・ 確率論的アプローチでは、3軸表現した場合の軸の名称「地震発生確率」は「地震動発生確率」と修正すべきである。
・ シナリオ地震(確定論的アプローチ)では、3軸表現した場合の「地震の危険度」は「地震発生確率」であろう。

(3) 「安全レベル」表現の見直し#3
資料No.13-3について片岡から説明があり、討議が行われた。
地震動の再現期間については、基準法改正の解説に記載があったと思う。

(4) 耐震メニュー概念図の更新
資料No.13-2について諸井委員から説明があり、討議が行われた。
・ 安全レベルにAクラス、Bクラスとの表現があるが、「クラス」という表現は耐震等級とまぎらわしい。また、領域分けされているが、区分けできるものではないと思える。
・ 地震調査研究推進本部による確率論的地震動予測地図から仙台のハザードカーブを引用している。ハザードカーブは計測震度の超過確率で表されているので、経験式を用いて速度に変換した。
→地震動レベルの軸に最大速度と震度が表現されているが、震度が大きなところでの最大速度と計測震度との関係が問題になる。
→震度7の定義が難しいのではないか。
→地震動レベルとして震度を利用するのかを再検討する必要もあろう。
・ 同じ耐震等級でも幅を持って表現しているが、コストにも幅があるのか?
→ディテールに係わるので詳細なことは分からないが、一般に構造にかかる費用が全体に占める割合はそれほど高くないので、同じ等級であればコストはそれほど違わないのではないか。
→建築の耐震設計では、破壊することを考えていないので、費用の検討自体が難しいと思う.。
・ 被害ランクの表現は、”Vision2000”と独立に決めて良いと思う。

(5) 耐震メニューの表現について
各資料に関連する討議の際に以下のような意見があった。
・ 資料No.13-4は、設計のプロセスとしては必要であるが、施主に説明するには煩雑すぎないか。
・ 3軸表現は、イメージで良いのではないか。
・ 3軸表現は概念的なものというが、その次にあるものはなにか。設計プロセスの最後まで施主が理解できることが必要なのではないか。
・ 「耐震メニュー2001」では、レベルの設定あるいは外力と許容レベルを示すことで、施主への説明責任と考えた。
・ 施主にも様々なレベルがあるので、これに対応する説明が必要なのではないか。
・ 場所と建築を指定したら、3軸表現のような図がかける方法を提案すれば良いのではないか。
・ 3軸表現の各面については、その面を深める解説が必要であろう。
・ 安全レベルと耐震等級との関係が分かり難い。同じ敷地に全く(構造的)異種の建築がある場合の評価をどのように行うのか。


4. 次回日程と次回の検討内容
(1) 次回を2003年7月24日(木)14:00〜17:00で開催することとした。
(2) 次回小委員会での検討内容
@ 3軸表現した耐震メニューの概念について,各面の解説を討議する。各面の解説の原案は、以下の委員が担当する。
(ア) 設計の面:諸井委員
(イ) 自然ハザードの面:翠川主査
(ウ) 安全レベルの面:片岡
A その他

                                                               以上