地震防災総合研究特別研究委員会
危険度・耐震安全性評価小委員会(第14回)議事録


A.日 時:2003年7月24日(木) 14時00分〜17時00分
B.場 所:建築学会302会議室
C.出席者 主査:翠川三郎
       幹事:濱田信義、片岡俊一、池田浩敬
       委員:井上 豊、石井透、富松太基、諸井孝文(敬称略)
                                        (記録担当:池田浩敬)
D.提出資料
 資料No.14-01 耐震メニュー3D表示の改訂(諸井委員)
 資料No.14-02 3軸表現された耐震メニュー「安全レベル」の面(片岡幹事)
 資料No.14-03 耐震メニュー報告書素案(翠川主査)
 資料No.14-04 第8回「震災対策技術展」関連講演会(横浜)企画案(事務局)
 資料No.14-05 東海大会 地震防災総合研究特別調査委員会 研究協議会(9/6)開催案内(建築雑誌7月号)、地震防災総合研究特別調査委員会活動報告記録(3/19)(建築雑誌6月号)(事務局)
 資料       第13回危険度・耐震安全性評価小委員会議事録(案)

E.審議事項
1. 前回議事録の確認
   片岡幹事が読み上げ、一部語句の修正を除き承認された。

2. 地震防災総合研究特別調査委員会研究協議会(9/6)について
   資料No.14-05に基づき、事務局より説明があった。
 ・ 東海大会(9/6)での研究協議会においては、本小委員会からは翠川主査と山根委員が報告を行う。
 ・ 今年3月に行った活動報告の記録が建築雑誌7月号に掲載された。

3. 耐震メニュー報告書素案について
  資料No.14-03に基づき、翠川主査より説明があった。
  (説明)
 ・ 報告書は5章で構成される。
 ・ 1章が「耐震メニューの概要」、2章から各論で、2章が「安全レベルの解説」、3章が「地震ハザードの解説」、4章が「耐震等級の解説」、5章が「耐震メニューの利用例」である。
 ・ 3章の「地震ハザードの解説」の「地震動の強さの定義」の節では特に、3次元の図の中で「周期」の概念を表しきれないので、文章等で記述する必要がある。
 ・ 1章の一部である「本耐震メニューの目的と構成」については原稿案を作成した。
  (討議)
  「本耐震メニューの目的と構成」の原稿案について:
 ・ 文章中の「建築主の持つ概念」とは何を意味するのか?
 →「建築主の持つ安全レベルの概念」という意味である。
 ・ 「地震像」という言葉が使われているが、その言葉の意味を説明する必要がある。
 ・ 以上のような意見があったが、原稿案の骨子は了承された。
 「報告書の全体構成」について:
 ・ 報告書の全体分量はどの程度を想定しているか?
 →全体で3〜40頁程度
 ・ 安全レベルの中の「被害ランクの定義」については、原則「耐震メニュー2001」のものを踏襲し、本報告書にも再掲する。
 ・ 報告書の全体構成についても、素案の通り了承された。

4. 報告書とりまとめ担当者について
  報告書とりまとめに向け、翠川主査より各章のとりまとめ担当者案が以下のように示され、了承された。
 ・ 第1章「耐震メニューの概要」:池田幹事
 ・ 第2章「安全レベルの解説」:片岡幹事
 ・ 第3章「地震ハザードの解説」:石井委員
 ・ 第4章「耐震等級の解説」:諸井委員
 ・ 第5章「耐震メニューの利用例」:山根委員

 ・ 次回小委員会において、各章のとりまとめ担当者は、節のタイトルとその概要に関する資料を提出する事となった。

5. 耐震メニューについて
 (1) 3軸表現された耐震メニュー「安全レベル」の面について
  資料No.14-02について片岡幹事から説明があり、討議が行われた。
 ・ 2頁の「安全レベルの表現」の表には、「建築基準法」「超高層」「免震」といった記号が入っているが、それでは「耐震等級」になってしまう。
 ・ 1頁の1行目「地震動の強さとそれに対する建物の性能を・・・」というと、それは耐震等級の説明になってしまう。「安全レベル」は、概念的なものであり、「想定している地震と建物の性能を・・・」といった表現にすべきではないか。
 ・ 地震動発生確率軸については、免震建築等で「余裕度検討レベル」の地震動が設定される事があることから、建築基準法の2段階に1つ加え、標記を3段階とした。
 →免震の余裕度の場合、レベル2の1.5倍といった設定の仕方をされている事が多い。
 →兵庫県南部地震の神戸の地震動をそのまま余裕度検討に使う場合もある
 ・ 確定論的に地震動を考える場合(シナリオ地震)の安全レベルは、被害軸と「地震発生確率」によって表現されるのではなく、被害軸と「地震像」のようなもので表現されるのではないか。「地震像」とは、確率だけでなく地震を規定する様々な要素を含んだものである。
 ・ 地震像は、「内陸直下地震」「スラブ内大地震」「海溝型大地震」「中地震」といったような種類に大別される。(資料14-03の3頁)
 ・ 被害ランクについては、耐震メニュー2001の中で既に、躯体だけでなく、設備や2次部材についても個別に設定されている。従って、本耐震メニューは、施主が「この揺れの大きさに対し、躯体は中損でも構わないが設備は軽損に止めてほしい。」といった個別のリクエストができるツールである。
 →しかし、実際には「耐震等級」の設定に当たり、上記のような個別の設定をすることは考えにくい。
 →本耐震メニューでは、標準的な例と使い方に関する解説を載せれば十分ではないか。

 (2) 耐震メニュー3D表示の改訂について
 資料No.14-1について諸井委員から説明があり、討議が行われた。
 ・ 安全レベルの面ではVision2000、地震ハザードの面では荷重指針を例題として当てはめてみた。耐震等級の面は、原則山根委員の資料の内容をそのまま使った。
 ・ 耐震等級を表す楕円形の点線が地震動レベルのマイナスの部分にまではみ出しているので、修正した方が良い。
 ・ 安全レベルの面の被害ランクの文言は、本耐震メニューの被害ランクの定義の文言(資料No.14-02の1頁)と合わせる必要がある。
 ・ 本耐震メニューを使って施主と設計者が相談する際、安全レベルの面に投影した“点”で議論をするのか、複数の点を繋げた“線”で議論をするのか、他の面との関係を考慮した3次元上の “面”で議論するのか。
 →原則として、安全レベルの面上での点で議論をする事になる。
 →それを設計者が耐震等級や地震ハザードの面に落としていって設計を行う。
 →その点が1点なのか複数点なのかは、施主の条件次第である。複数の点で指定された場合は、複数点を押さえた設計が必要となる。
 ・ 安全レベルの面のS,A,Bの境目はこれほど明確なものではないのではないか。
 →実線ではなく、耐震等級のような重なりのある点線で表すという方法もある。
 ・ 耐震等級の面の図では、耐震1級は免震、耐震2級は超高層に限られるような誤解を与えるの可能性がある。説明が必要ではないか。
 ・ 耐震等級の面で、耐震等級は斜めの楕円形で表されているが、例えば超高層の設計では、実際にはレベル1とレベル2の2点で設計されており、その間がどうなっているかは分からない。
 ・ 耐震等級の1級、2級という等級の付け方が、住宅性能表示制度等の順番と逆になっているが問題ないか。
 →通常、日本語の「等級」は1級が最上級を表わしており、本耐震メニューの等級の付け方は理に適っている。
 ・ 安全レベルの面で、Sクラス、Aクラスと「クラス」を付けるのはおかしい。「安全レベルS」といったように「クラス」を取ってしまった方が良い。
 ・ 地震ハザードの面での地盤増幅率の表現が分かりにくいのではないか。
 →ハザードカーブは工学的基盤での値であり、それに地盤増幅率を掛け合わせて地震動レベルが設定される、という事を図上で表現するために鉤型に曲がった矢印を用いた。
 →現状のハザードカーブの右側に地盤増幅率を掛け合わせた後のハザードカーブを引き、50年超過確率9.5%からX軸に平行に引かれている矢印の430galまでの部分が「工学的基盤の値」その矢印をさらに延長し、地盤増幅率を掛け合わせた後のハザードカーブと交わった点(520gal)までを「地盤増幅率を考慮した値」として、そこから真下に地震動レベルの軸まで矢印を下ろせば、分かり易いのではないか。

 6. 次回日程と次回の検討内容
 (1) 次回を2003年9月22日(月)14:00〜17:00で開催することとした。
 (2) 次回小委員会での検討内容
  @ 報告書の章毎の節のタイトルとその概要。原案は、以下の委員が担当する。
   ・ 第1章「耐震メニューの概要」:池田幹事
   ・ 第2章「安全レベルの解説」:片岡幹事
   ・ 第3章「地震ハザードの解説」:石井委員
   ・ 第4章「耐震等級の解説」:諸井委員
   ・ 第5章「耐震メニューの利用例」:山根委員
  A その他
                                                                             以上