地震防災総合研究特別研究委員会

第4回 危険度・耐震安全性評価小委員会 議事録


A.日 時:2001年12月4日(火) 16時00分〜17時00分
B.場  所:建築学会302会議室
C.出席者:主査:翠川三郎
       幹事:濱田信義、片岡俊一、池田浩敬
       委員:小谷俊介、源栄正人、諸井孝文、富松太基、山根尚志、吉田克之、 
           福和伸夫、石井 透 井上 豊
           山村一繁(西川孝夫代理)、竹脇 出(上谷宏二代理)
                                                  (敬称略)
                                           (記録担当:池田浩敬)
D.提出資料
  資料No.04-01 地震防災総合研究特別研究委員会(第V期)(第2回)議事録(案)
  資料No.04-02-01 セコム科学技術振興財団研究奨励金交付申請書(申請者=本小委員会)
  資料No.04-02-02 同財団研究奨励金交付申請書(申請者=防災対策改善推進特別委員会)
  資料No.04-02-03 科学研究費補助金研究成果公開促進費計画調書(申請者=本小委員会)
  資料No.04-03 第6回「震災対策技術展」関連講演会「どう活かす地震の教訓」の案内
  資料No.04-04-01 危険度・耐震安全性評価小委員会 活動方針(案)
  資料No.04-02-02 活動方針案に関するコメント(吉田委員)
  資料 第3回危険度・耐震安全性評価小委員会議事録(案)
  資料合同公開研究会「被災直後の被害調査のあり方をめぐって」の案内

E.審議事項
1. 前回議事録の確認
 片岡幹事より説明の後、一部修正して承認された。

2. 地震防災総合研究特別委員会の報告
  資料No.04-01に基づき、翠川主査より説明があった。
 (ア) 前回の本小委員会で、「被害の定義」についての公開研究会を検討する際に、「都市防災・復興方策
   検討小委員会でも関連するテーマの公開研究会の開催を予定しているので調整する。」となったが、
   調整の結果両者のテーマが異なるため別々に開催することとした。(都市防災・復興方策検討小委員
   会、都市防災システム小委員会合同公開研究会「被災直後の被害調査のあり方をめぐって」は、2002
    年1月25日に開催される。)
 (イ) 外部資金獲得のための申請として、本小委員会としてもセコム科学技術振興財団の研究奨励金交付
    申請(資料No.04-02-01参照)及び平成14年度科研費の成果公開促進費(シンポジウム費用として)の
    申請(資料No.04-02-03参照)を行った。
 (ウ) 地震防災総合研究特別委員会主催のシンポジウム「どう活かす地震の教訓―地震災害の軽減に向
    けてー」を2002年2月14日に横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)で開催する。

3. 活動方針案について
  資料No.04-04-02に基づき、吉田委員より、活動方針案(資料No.04-04-01参照)に対するコメントについ
  ての説明があった。
  (吉田委員からの説明)
 (ア) 昨年度までの3年間に検討してきた「耐震メニュー2001」の全体的な筋立ての妥当性をもう一度確認し
    ておく必要があるのではないか。
 (イ) この他、全体として、@「耐震メニュー2001」の再検討、Aハザードマップの精緻化、B耐震メニューに
   対応した設計手法の検討、C既存建築物の評価手法の検討、D社会的観点からの課題の検討等を
    行う必要があるのではないか。
 (ウ) 耐震性のレベルを建築主に提示し、設計者と協議の上合理的な安全レベルの選択を行うといった考
   え方は現実的ではないとする意見もある。
  (討議)
 (エ) ((エ)に関し)逆に「最高の耐震性能を低廉な価格で提供する。」というお題目だけでは、今までと同じで
   進歩が無い。そこから一歩進めるために、耐震メニューを提案している。
 (オ) 耐震メニューを活用するためには、ユーザーサイドの教育が必要である。また、どういう教育が必要か
    という検討を行うことも重要である。
 (カ) @の耐震メニューの再検討は、本小委員会に本来与えられた課題の一つである。
 (キ) Aについても、ハザードマップやマイクロゾーニング等を積極的に活用し、耐震メニューをさらに一歩
   進めていこうということは、基本方針として既定の路線であると考えている。
 (ク) Bの耐震メニューに対応した設計手法の検討は、耐震安全性の確保を実現するためには、最終的に
   は必要なものであるが、危険度・耐震安全性評価小委員会の範疇を超えていると思う。
 (ケ) Cの既存建築物の評価手法の検討は、その必要性は十分に認めるが、非常に問題が複雑で、技術
   的裏づけが無いと実際にやることは難しい。結局課題として残ってしまうのではないか。そこまで範囲
    を広げるのは難しいと思う。
 (コ) Dの社会的視点からの課題の検討は、この小委員会の結論が出た段階で検討すべきものであると思
    う。
 (サ) 以上の議論をまとめると、@耐震メニューの再検討、Aハザードマップの精緻化については、既に現
   状の活動方針の中にも入っている。(最後の3行)B〜Dについては、配慮は必要だが、現段階におい
   て基本方針にそのまま入れ込むことはしない。
 (シ) 「耐震メニュー2001」の筋立てについて、その作成に携わっていなかった立場から再検討して頂く作業
   を、片岡幹事にお願いすることとなった。次回小委員会で検討結果を報告していただくこととなった。
 (ス) 既存の「耐震メニュー」のレビューも必要である。
   →この作業については、前の小委員会で集めたものを中心に吉田委員から次回報告していただくこと
     となった。
 (セ) 活動方針案の中の「地震動と被害の関係」という部分は、既存建築物を意識した内容となっているよう
   に読めるので、表現に工夫が必要ではないか。

4. 地震動予測地図について
 (ア) 加速度より速度の方が構造物の被害との関連性があり、かつ加速度の方が条件によって敏感に変化
   するものであるため、評価結果として出す値としては、速度を基本にした方が良いのではないか。
   →現在検討している地震動マップは、速度と震度を基本にし、リクエストがあるためそれに加えて加速
     度も出す、といったスタンスである。
 (イ) 構造物の被害を考えるならば、周期情報を含んでいる必要がある。
 (ウ) 工学的基盤の設定は適切であるのか。
   →シナリオ地震の詳細評価では、深い層の3次元情報を加味して検討している。

5. 次回討議内容の確認
 (ア) 次回を2002年1月29日14:00〜16:00で開催することとした
 (イ) 以下の話題を委員から紹介してもらうこととした
   @ 「耐震メニュー2001」の筋立てについての再検討結果について:片岡幹事
   A 既存の耐震メニューのレビュー:吉田委員

                                                              以上