地震防災総合研究特別研究委員会
危険度・耐震安全性評価小委員会(第7回)議事録
A.日 時 2002年6月20日(火) 14時00分〜18時00分
B.場 所 建築学会201会議室
C.出席者 主査:翠川三郎
幹事:濱田信義,池田浩敬,片岡俊一
委員:源栄正人,諸井孝文,山根尚志,吉田克之,井上 豊,石井 透
(敬称略)
(記録担当:片岡俊一)
D.提出資料
資料No.7-1
地震防災総合研究特別調査委員会(第V期)(第4回)議事録(案)
(提出者:事務局)
資料No.7-2 平成14年度科学研究費補助金研究成果公開促進費「研究成果公開発表(B)」交付
申請書(提出者:事務局)
資料No.7-3
確率論的地震動予測地図の試作版(地域限定)について(石井委員)
資料No.7-4 「耐震メニュー2001」に関するメモ(井上委員)
資料No.7-5 「耐震メニュー2001」について(山根委員)
資料No.7-6
新しい耐震メニューの作成に当たって〜地域の地震環境・地盤環境を考慮した最適
耐震設計(Incentive Sesimic
Design )の概念〜(源栄委員)
資料
第6回危険度・耐震安全性評価小委員会議事録(案)
E.審議事項
1. 前回議事録の確認
片岡幹事が読み上げ,一部語句の修正をした後に承認された.
2. 今後の活動について
資料No.7-2,3に基づき,以下のような報告会などを開催する必要があることが事務局から報告され
た.
(a) 科学研究費補助金研究成果公開促進費を利用したシンポジウム.
・応募した科研費補助金に採択された.
・科研費補助金の性格から,シンポジウムの内容,目的などを予め提出した書類から大幅に変更すること
はできない.
・今月中に詳細をつめて交付申請書を提出する必要がある.
・詳細については,別項参照
(b) 本委員会中間報告会:2003年3月19日
(c) 2003年度大会(2003年9月5日〜7日)研究協議会
各小委員会の活動報告を受け,最終年度報告のための意見を聞く機会とする.
(d) 第7回「震災技術展」関連講演会
2003年1月31日(金),神戸会場
2003年2月7日(金),横浜会場
いずれも一般市民を対象として,委員会活動に関連する内容を講演する.
3.シンポジウムについて
プログラムの内容についてさまざまな意見が出たが,骨子としては一般講演とパネルディスカッションと
することとした.
同時に採択された「都市防災・復興方策検討小委員会」のシンポジウムと合同実施を検討したが,内
容に差があると思われるため断念した.
開催日を平成14年11月25日(月)と決めた.
時間がないことから,主査が案を作成し,E-mailにて審議することとした.
なお,E-mailで諮られたプログラム内容は以下のとおり.
プログラム:
1.主旨説明(13:30〜13:35)
翠川三郎(危険度・総合耐震安全性評価小委員会主査/東京工業大学)
2.講演(13:35〜15:05)
1)「地震発生の危険度と地震動予測地図」 石井 透(防災科学技術研究所)
2)「地震動と建物被害の関係」 諸井孝文(鹿島建設)
3)「建物の揺れと室内被害」 金子美香(清水建設)
3.パネルディスカッション「地震災害の軽減をはかるために」(15:15〜17:00)
パネリスト: 翠川三郎(東京工業大学)[市民がまずできること]
池田浩敬(富士常葉大学)[行政ができること]
吉田克之(竹中工務店)[建築技術者ができること]
源栄正人(東北大学)[仙台市での取り組み事例]
司会とまとめ:片岡俊一(弘前大学)
[講演は各30分、パネリストの話題提供は各15分、印刷費に予算があるのでカラーできれいな資料を準
備する。]
注:[ ]内は参考のため書いたもの
4.確率論的地震動予測地図の紹介.
資料No.7-3に関して以下のような追加説明があった
・この資料と同じものは,地震調査推進本部のホームページにも掲載されている.今回の資料の図は白
黒であるが,ホームページの図はカラーであるので,参照してほしい.
・確率論的地震動予測地図は,場所,期間,確率を指定すると地震動の強さが地図として表現されるも
のである.
説明についで,以下のような質疑応答があった.
・想定東海地震の発生確率はどのようにしているのか?
→想定東海地震は,中央防災会議で地震動の強さを決めていることから,東南海地震の発生確率以上
に仮に設定している.
・確率論とシナリオ地震からの地震動レベルが整合するのか
→両者で地震動予測手法が異なることから,整合する必要があるのかという根本的な点から内部で議論
している.
・シナリオ地震が確率論的地震動予測を行う際の,どの地震に対応しているのかを示す必要もあるので
はないか.
・確率論的地震動予測地図は,全国を概観するのに必要と考えられる.
・ここでは,30年で発生確率6%としているが,この根拠は何か.
→これは,50年で発生確率10%とほぼ対応する.アメリカではこの値を利用している場合があるので,こ
れと対応させているものと考えられる.
5.耐震メニュー2001について
(1) 資料No.7-4について
以下のような追加説明があった.
・建物単体であれば,決定論的な作業手順なので「耐震メニュー2001」を適用することは容易であるが,
地域防災計画における被害予測や設計指針・改修指針などの策定にはばらつきを考慮せざるを得ず適
用が難しいのではないか.
・架構骨組み以外の損傷判定には,定量化が必要である.また,被害の記述に関しても検討が必要であ
ろう.
これに関して,次のような議論があった.
・総合的な被災判定は,金額で判定することも考えられる.
・設計の際と診断・改修の際で共通の目標を設ける必要があるのではないか.
(2) 資料No.7-5について
「耐震メニュー2001」の全体の骨格,各論,目的・位置づけに関して山根委員から資料を用いた説明があ
った.主な討議内容は以下のとおり.
・地震動レベルと建物被害レベルは独立して定義すべきであり,さらに安全レベルの定義に関してもこれ
らと独立とした方が全体像が明確になる.
・地震動レベルの評価に関連して,荷重指針をそのまま適用すると,再現期間の適用範囲が500年まで
なので,安全レベルS,A,Bは適用範囲外になってしまう.
→このことは「耐震メニュー2001」を作成した当時から分かっており,今後の研究に期待したい.
→今後もますます研究・整理が進むので,その状況を見ながら各論を変更すれば良い.
→耐震等級算定図は荷重指針に基づいて作成されているが,別のもので置き換えたときにどのようにな
るかを検討しておいた方が良い.
・提案の目的が明確でない.「耐震メニュー2001」を用いて実際に建築主と設計者が協議をすることを想
定するのか,あるいは性能設計の一つの考え方を提示することを目的としているのか.
→両方を考えたものであるが,設計手法は規定していない.
→骨格と各論を区分して記述するようなことはできないのか.
・耐震等級と震度階の関係を示した表において,「耐震メニュー2001」が概念を示しているのならば,重損
と中損の間に境界線があっても良いが,設計手法と考えると境界線を設けるのは適切ではない.
・建物の機能を規定するのか,構造の機能を規定するのかを明確にした方が良い.
→重損の定義としては,機能を考えている.また,被害段階の分類表の中で例えば,重損は人命・身
体,建物諸機能,補修の必要性と規模,架構のどれかひとつでも重損の定義に当てはまった場合は,
重損であると考えている.
・建築の耐震性の評価として,建物そのものの絶対的評価と社会的なものを含んだ評価の視点がある.
・被害として,直接被害,間接被害,資産価値という考えもある.
・「耐震メニュー2001」における建物の供用期間については,機能の面から再検討が必要と考えている.
(3) 資料No.7-6について
以下のような追加説明があった.
・最近の関連技術を大枠で整理したもので,将来,耐震メニューを作成する際に留意すべき事項を挙げ
た.
・地震被害による損失額を求めるために,補修費の見積もりデータが欲しい.
これに関して次のような討議がった.
・補修費の見積もりは,補修額だけを見積もったものではないので,ばらつきが大きくなっている.
・既存不適格建物では,厳密には補修費を算出することができない.
・補修費を正確に見積もるには,仮想の建物を仮想に破壊して,これの補修費を見積もるしか手はないで
あろう.
7. 次回日程と内容
(a) 次回を2002年9月11日(水)14:00〜17:00で開催することとした.
(b) 次回は,資料No.7-5を展開した具体的な提案を山根委員に提出願い,
審議することした.
以上