2003年度
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大学の部
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金賞 |
白倉洋次君 |
北海道工業大学建築工学科 |
A
Museum on Earthwork |
多くの卒業設計を見てきた私にとって、今までに3つだけ特に印象に残っている。その印象作品は生涯私から離れる事はないであろう。去年の熊切君の作品と倉本君の作品、そして3つ目はこの作品である。この3つは全くちがう方向性をもっている。建築家として影響されたと言っても過言ではない。「A
Museum on Earthwork
」は水田の中に建つ建築である。いや、水田の中に建つ精神である。たかが、水田なのに刻々と変化する風景は人の中の「心」と同じである。光を見る又は感じる事は空間を見る事と同意語である。建築は光によって浮かびあがるのだが、この作品はそれだけでなく廻りの水田の水や作物や天気や季節によって浮かびあがる。こんなことを考えながら、都市の中にもこんなチャンスがあるのではと私をワクワクさせた。プレゼンテーションもさりげなく、秀逸である。ただただ素晴らしい。
(文責:中山 眞琴君) |
銀賞 |
富谷洋介君
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北海学園大学工学部建築学科 |
Stage
of the
Stream |
この作品は図面20板という大作だ。現代建築の方行性が問われる昨今であるが、この計画は何かふっきれたものを感じる。新川の河川敷が敷地となっており空中に架けられたブリッジ状のフロアに様々な大きさのユニットを自由に配置し様々なプログラムを可能としている。建築と言うよりは装置であり、新型複合施設の提案である。何も使わない川の上部を使用することにより、新しい見え方・見せ方が想像出来る。しかし、美しいプレゼンテーションで、目を奪われてしまうが、この巨大なブリッジの構造体をと考えるとかなりのメガストラクチャーとなりヒューマンなスケールとは縁遠くなりそうだ。しかし、プレゼンの巧さや、夢を与える計画に力量を感じ銀賞にふさわしいと思った。更に今後を期待したい。
(文責:小西 彦仁君) |
銅賞 |
米花智紀君
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室蘭工業大学建設システム工学科 |
Like
a pumice
‥
新室蘭市役所計画案 |
審査対象作品の多くが、ランドスケープ、風景、環境、改修などのテーマを情緒的にまとめた私小説的傾向であるのに対し、この作品では空間を創る行為を通して日常社会を変えていこうとする意志が感じられた。「役場庁舎」という硬直化したビルディングタイプを解体するために、役場組織のアクティビティー分析を行った上で、ストライプと気泡を組み合わせたシステムが導入された。すべての機能がここに再整理された結果、役場組織間にインターラクティヴなネットワーク環境を作り出すことに成功している。しかし、アクティビティーを自由に組み替えるためのツールであるストライプの補助線が壁として扱われたことで、様々な不自由が生じているのではないか。現状分析の精度が粗いままシステムを決定した感があり、その結果ダイアグラムの域にとどまっているのが惜しまれる。
(文責:加藤 誠君) |
銅賞 |
松本哲弥君
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北海学園大学工学部建築学科 |
HYBRID
CONVERSION |
建築は多大なる原因と結果をもたらす。社会性を持ちながらも、環境に対し細心の注意を払わなければならない。この作品は現在、札幌の一区画に建つ粗大ゴミのようなマンション群がターゲットで、そのフレームだけを残し、新しい集合のあり方、生活と言うもののあり方を鋭く提案している、見事な解決案である。そのコンプレックスで美しい建築都市に暫し我を忘れた。こうでなきゃ都市というものは!抑えぎみのグラフィカルな表現もCGの切り貼り的な図面が多いなかで光っていた。美しい。
(文責:中山 眞琴君) |
短大・高専・専門学校の部
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金賞 |
花田章子君 |
札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
SCENERY |
作品は、手作業で仕上げた大判の図面や妙に気になる記号などが3m角程度の1枚絵に組み立てられ、シンプルな色使いでありながらの大胆な筆使いが、その全てを語っている。(画面の枠からはずれた、模型写真を組み合わせた1枚の添付は必要であったか???)
作品には、都市の街区の一角に刻まれた記念碑性のあるサンクンガーデン、それに面し地下鉄駅に直結する保育園、イベントステージなど、様々なシーンが交錯している。熱心に思いを語る作者と一緒にこの作品を見るならば、より理解を深め、楽しい新たな発見をすることになるのだろう。この作品の持つ大胆さは、作者の未来への期待を抱かせるに十分な表現にあり、金賞に選出された。
(文責:渡邊 広明君) |
銀賞 |
志田綾乃君
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札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン学科 |
繋 ー KEI |
コントロールされ可動なサーフェイス(建築の外皮)をもつ美術館を街の中に置き、これを通して街、人、光、空気、緑の関係性をデザインしている秀作。可動ルーバーのディテールを含めた矩計図のリアリティーは良く表現されています。内部空間の複雑さ、面白さの表現のみならず、サーフェイスの多様性と街との間のインターラクティブな関係のプレゼンテーションがあったらより良くなったと思います。
(文責:上遠野 克君) |
銅賞 |
半杭優士君
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札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
rivet |
札幌市内大通りに計画された建物であるが、周辺との関係などが図面上では一切読みとれない。しかしこの計画には一種の力強さとバランスがあり、鉛筆によるドロイングにも魅力を感じた。何かあるのではと予感させる低層部と高層部の関係などセンスを感じる。しかし、全体の計画のあまさなどは、ゆがめないが、まさにrivetという作品名をストレートに伝えた、明確さがあった。
(文責:小西 彦仁君) |
工業高校の部
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金賞 |
石田洋介君
小田敬介君
佐藤祐太君 |
北海道札幌工業高等学校建築科 |
SEA
GULL 〜 Existence
of only
one 〜
ただ一つの存在 |
記念館の機能を持つ無人駅のデザインである。線路を跨ぐ2階レベルの展示室が、駅の待合空間となって利用者に親しんでもらう意図である。周りに何もないことが、消えうせたまちの活気や思い出をもう一度記念館で蘇らせようとすることを強調させている。円形の壁や立方体の形態の組み合わせがバランスよく、模型も抽象的に表現していてデザインの力量を評価したい。
(文責:斉藤 徹君) |
銀賞 |
新 幸二君
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北海道釧路工業高等学校建築科 |
Jerusalem |
釧路の地に残された毛綱毅曠の建築に触発され、コルビジェや安藤忠雄の建築を規範に、再び釧路の太平洋を見下ろす夕日の美しい小高い丘に、人と自然の交歓を通した新たな発想を持てるような建築の存在を目指している。打ち放し、円筒、借景、水盤とドライの2つの中庭・・・やや危うく、不思議な組合せの中に、作者の思いが伝わる。
(文責:渡邊 広明君) |
銀賞 |
藤川雄太君
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北海道札幌工業高等学校建築科 |
Multipurpose
Institution of
Sapporo City |
近代建築の良質な意匠と、ヒューマンなスケールの中庭が心地よい計画である。細密に描かれた立面図からは、まちのシンボルにもなりうることがわかる。歴史的建造物の意匠を踏襲した建物が、現代の技術で新しく作られることについて、ノスタルジー以外にどのような意義があるか考えてみてほしい。
(文責:加藤 誠君) |
銅賞 |
伊藤絵美君
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北海道釧路工業高等学校建築科 |
Community Center 〜 Fantasy Of Ocean 〜 |
夜遅くまでのグループ活動や合宿ができるように宿泊機能を付帯するコミュニティセンターの計画である。外部空間もインテリアも海や波形をモチーフにデザインしていて、コミュニティ活動の楽しい雰囲気をうまく表現している。ファンタジックな表現も適度であり、従来の硬い公共建築のイメージを打破したい計画姿勢は今後に期待したい。建築平面形や断面形は平凡な矩形である。ここにもデザインモチーフを立体的に生かせたらと良かったと思う。
(文責:斉藤 徹君) |
2002年度
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大学の部
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金賞 |
梅津 学君 |
北海道大学工学部建築都市学科 |
catalyst |
三菱美唄鉄道跡地という人々の歴史と記憶が重なる場。そこに残されたプラットフォームの跡地、旧駅舎を手がかりに、新たな創造拠点を造ろうとしたミュージアム計画である。ブルーグレーの色調で統一されたプレゼンテーションが美しい。リニアーなプラットフォーム跡地と相まったリニアーな建築物は、人々の記憶を過去から現在、未来へと繋いでゆくであろう。また、プログラムの説明から、建築空間化とその表現までの流れが、破綻なく美しいシークエンスで詩的に語られているのが見事であった。
(文責:鳥海 良晴) |
銀賞 |
熊切真知子君
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北海学園大学工学部建築学科 |
Mesh |
都市の中に効率という概念が居据わったために、いろいろな不都合が生まれ、都市を不毛なものに変化させてしまった。表通りには効率という名のビルが並び、その裏には貧相なアパート群が乱立する。その当たり前といえるヒエラルキーの中にほとんどの建物は埋没していく。スラム化が進み、更にその質を下げていく。住む人々は何の希望もなく、建築に興味をもたず、文化に触れる事もない。「メッシュ」はある意味でパラドックスであるが、実に重要な提案が秘められている。建築(物質体)と空気が一回クラッシュさせ、ぐちゃぐちゃにして、パッと放り出す。その散らばった状態がメッシュであり、そこには建築の保有する水平性、垂直性、連続性、露地性、ヒエラルキー、透明性、対峙性が全て盛り込まれる。金賞に値する力作である。
(文責:中山 眞琴) |
銅賞 |
秋元 葵君
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北海学園大学工学部建築学科 |
genome
of
life
genome
of
urban |
商と住の混在による不均質な多様性を、限定した素材・テラス・木製ルーバー等のボキャブラリーを使いながら、地域再生のプログラムとした作品。ディテールに建築的なおもしろさが見え隠れしている。居住空間の垂直方向だけではなくトポロジカルな重層性と、木製ルーバーの多様性が表現できたら、中層高密度のアジア的魅力が一層増したと思います。
(文責:上遠野 克) |
銅賞 |
倉本武樹君
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北海道工業大学工学部建築工学科 |
鐵の残像〜THE
GENUINE HISTORICAL
MUSEUM〜 |
当初は選外であったが、読み込んでいくにつれてその魅力にはまってしまった。その表現力、センス、文章力、何をとっても一級品である。その解りづらさが銅賞にはなったが、私個人としては金賞以上のものをあげたいくらいであった。「巷に出回る歴史館の方法は無効である」何と小気味いい表現ではないか。私も常にそう感じている一人として、エールを送りたい。
建築図面としての表現がなされていないのではないか、という審査員もいたがそれは間違っている。建築図面は伝達ツールである。であれば、今までの方法こそ必ずしも有効とならない。審査員ももっと時代の流れや、目的を見失わないようにしなければならないのではないか。そういう意味では問題を投げかけた作品である。
(文責:中山 眞琴) |
短大・高専・専門学校の部
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金賞 |
中村友里恵君 |
札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
海を臨むホスピスーA
HOSPICE
FACING
THE SEA |
石狩湾を望む銭函の高台に、限られた残りの人生を快適に過ごすための提案である。実にゆったりと伸び伸びした空間計画で、従来の狭隘な事例にとらわれていないところが評価できる。全体にスペースが十分で、居室には使い慣れたイス、備品、飾り物や写真など、慣れ親しんだ自宅の雰囲気を一緒に持ち込めるゆとりがある。ベットとともに外に出られる海側のテラスと、南面の日当たりを受ける中庭を配し、時間と季節を感じながら過ごす空間の落ち着きが感じられる。
(文責:斉藤 徹) |
銀賞 |
道尾淳子君
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札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
現札幌市立大通小学校における都心型複合集合住宅計画 |
学校跡地再生の集住プロジェクトである。矩形街区に斜めに設定した板状の構造システムの中に、光、緑、風が意識されるスリットを導入し、多様なライフステージの暮らしを積極的に提案している。住環境におけるアクティビティ向上のための既存施設の再活用や集住することによるゆとり創出に少し工夫が必要であったか。今後に期待します。
(文責:渡邊 広明) |
銅賞 |
向井沙江君
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釧路工業高等専門学校建築学科 |
C.H.―Collective
Housing |
曲面の面白い形態から詩的な印象を受けるが、多様な居住者がともに暮らす計画意図が評価できるコレクティブハウジングである。家族タイプ、独身者タイプ、高齢者タイプの住タイプを中庭型で混在させながら、多世代の交流のための共有スペースを通じて、コミュニティ形成と連帯感の醸成を意識している。中庭の広場を通り抜ける道で低層の3棟をつなぐ空間構成に、柔らかな変化のシークエンスのねらいも感じられる。
(文責:斉藤 徹) |
工業高校の部
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金賞 |
岡田拓也君 |
北海道札幌工業高等学校建築科 |
COMMUNICATION 図書館―人と人と自然の交流― |
コミュニケーションを主題にした図書館を、シンメトリックな配置と円型を主体にした4つの建築群で構成した力作。アプローチの長さ、途中の庭等、又内部空間から感じられる重層化した外部空間など、多くの建築的魅力を感じる作品です。周辺環境との関わり方に対する視点があったらより良い作品になったと思います。
(文責:上遠野 克) |
銀賞 |
松浦 喬君
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北海道美唄工業高等学校建築科 |
Community
Circle・話・和・輪・環・ |
中央の屋外ステージを取り囲むように、図書館、公民館、体育館がサークル状に配置された公園内のユニークなコミュニティー施設である。大きなボリュームの集合体になりがちだが、屋根の架け方が良く考えられ、周囲に対する威圧感を最小限に抑えている。プレゼンテーションもていねいに彩色されて、人に伝えようという努力が見られ好感がもてる作品である。
(文責:鳥海 良晴) |
銅賞 |
夏坂 彩君
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北海道名寄光凌高等学校建築システム科 |
郷 kyoh―α
image+― |
自分の住む町への思いから構想は始まる。町に足りないものは、何だろう・・・!人が集まり使いやすいホール機能、郷土のデザイン・明るいイメージ、シンボル性や環境との協調性・・・。11枚の紙面いっぱいに表現している。建築は周囲の環境との関係でその魅力を高めます。建築に取組む視野の拡大に期待します。
(文責:渡邊 広明) |
2001年度
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大学の部
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金賞 |
田根 剛君 |
北海道東海大学芸術工学部建築学科 |
空気のような建築―新たなる設計方法論― |
人々が寄り集まり活動する空間づくりに、興味ある計画アプローチを示した作品である。図書館や会合の場などを計画する場合、用途から空間をつくるのではなく空間のボリュームの違いに着目し、広さと高さが大小で、使い勝手に融通性のある空間の組合せによって仕立てる方法である。この廊下がなく大小の空間の通り抜けの連続の中で展開される様々な市民活動が、その空間の境界のなさによって相互にふれあい、啓発され、空気のように流動化する様子が見てとれる。建築の公共性、公開性、参加性を率直に示した提案である。ただ、空間のサイズと個数が多い提案となって、迷路のような空間の複雑さが目立ってしまった感がある点、残念である。 (文責:斉藤 徹) |
銀賞 |
佐竹俊彦君
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北海学園大学工学部建築学科 |
記憶の中継点 |
街の再生という今日的な問題意識に立ちながら、内部空間と街路とのインターフェースとしての装置を、人を納める棚的空間を集積する形で建築的に表現している。これらの新たなコミュニケーション・ツールとしての物理的空間群が相互にリンクしあう仕組みがより表現できたら、説得力が増したろう。CGでの表現力が平面図、立面図にも同じくらい必要です。 (文責:上遠野 克) |
銅賞 |
石井 旭君
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北海道大学工学部建築都市学科 |
建築/地形
Eco-Museum
in
Harutori
Lake |
釧路市春採湖に建つランドスケープ・アーキテクチャーといえるエコ・ミュージアムの提案である。地形の読み込みからの建築形態へと発展、水平に線的に伸びる空間を詩的に作りこんでいる点でスケール感の破綻もなくうまくいっている。ただし、エコ・ミュージアムとしての施設側の、そして来訪者側のアクティビティーをどうしようとしているのかに対しての説明がやや希薄である。よってその答えとしての空間は読み取れず、単なる美しい観察施設で終わっているようだ。道筋を立てた説明を効果的に伝達する明快な図式を加えれば良かったのだが。
(文責:鳥海 良晴) |
銅賞 |
目黒祥久君
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北海学園大学工学部建築工学科 |
overflow |
非常にわかりやすい集合住宅である。2.5mスパンのグリットプログラムである。特に新しい事もないが、魅力あるものに仕上がっている。「住む」という事に一石を投じていることにちがいないが、プロポーションもきれいなのだが、前置きが多すぎて、伝わらない事のほうが多かった。街区におけるルーバーの取り扱いも何かリアリティがあるし、個の住戸のばらつきもとっても心地よい、やさしい、しかも「建築」を感じられる作品となっている。
(文責:中山 眞琴) |
短大・高専・専門学校の部
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銀賞 |
清水朋子君 |
札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
SHELTER
for
WOMEN 札幌女性相談援助センター |
これから、社会的に求められるであろう女性への相談支援施設(ドメスティック・バイオレンスなどへの受け皿)で、設計動機は明快である。建築空間は極めて現代的は端正な意匠・構造で、軽快で透明感のある明るい建築になっている。だが、それだけで終わってしまった心的な支援は、実はドライではない空間も必要で、例えばプランを特徴づけている横断的な中庭は、ケアの場としては最適で、そこにコンプレックスなデザインの作り込みも欲しかった。 (文責:鳥海 良晴) |
銀賞 |
鈴木千穂君
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札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
Invitation
to
Healing〜癒しへの招待〜 |
ここ数年、CADによる表現が多い中、この作品はマウスとキーボードでは表現できない、微妙な手の痕跡やトーンに、改めて手で考える意味を感じた。丘陵地に建つ空間は、周りの環境に対する気遣い、風景の見せ方、空間をつなぐ回廊等、シークエンス効果はスケッチからもうかがわれる。しかし、傾斜地を生かした立体的な空間構成が見られないのが残念である。又、パーキングエリアから見下ろされることを意識したルーフデザインへの配慮も必要なのではないか。
(文責:井端 明男) |
銅賞 |
尾形郁恵君
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北海道職業能力開発大学校建築科 |
もうひとつの生活空間〜銭函海岸再生計画〜 |
雑然とした景観を呈している海岸の作業場や船置場を再整備する提案である。現況調査で発見した既存の石積壁と下見板張りを共通のデザインコードとして活用し、連棟配置の建屋の規模や間取りの違いで景観に変化をもたせている。JR線沿いの安全な通行のために設けた歩廊や、空中テラス状に海に張り出した海の家の提案には、漁師の作業場とサーファーの憩いの場のために快適な生活空間をつくる姿勢があらわれている。JRの車窓からも海上からも郷愁感のある景観をつくり出しているが、海を訪れる人、漁師、サーファーたちのふれあいを誘発する生活空間の連携的で複合的な魅力づくりの提案など、今後を期待したい。
(文責:斉藤 徹) |
工業高校の部
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金賞 |
新保知君
木村恭君
工藤広呂香君 |
北海道札幌工業高等学校建築科 |
MONKEY
PUNCH
MEMORIAL
MUSEUM |
見た瞬間、金と思った。大学も含めて今回は金はなし。その中での金獲得である。大変な力作だ。幾何学を組み合わせ、安藤風である。しかし、問題も多く見られた。まず、MUSEUMの域を出ていないこと。新しさの提案がもう一つ欠けていること。人工池の形はこれで良いのか。列柱のピッチは荒くないか。それぞれの展示室はこれでバランスがとれているのか、等等。それでもそれを超える「何か」があった。 (文責:中山 眞琴) |
銀賞 |
加藤 脩君
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北海道美唄工業高等学校建築科 |
Community
Center
運動公園センターハウス |
公民館、体育館、劇場を吹抜けのアトリウムでつないだ複合施設の計画は、動線計画もそれぞれの施設の平面計画もよく考えられた作品です。クラシカルなエレベーションを持つセンターハウスが、運動公園のアプローチ部分によくマッチしています。配置図、平面図、立面図、パースに同じくらい力をかけてまとめあげている力作です。模型写真をもっとプレゼンテーションの中で有効に使われると、よりすばらしい作品になったと思います。
(文責:上遠野 克) |
銅賞 |
定免 愛君
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北海道函館工業高等学校建築科 |
Star
☆ Island |
スターアイランドは、何かと騒がしい社会情勢の中で、一息つける作品です。五稜郭をモチーフとした水族館計画は、かつて北前船の港から世界の海と繋がり、国際都市へと急成長した町に相応しい施設だと思う。各スペースについてはアイディアとイメージをもって計画をしている様ですが、配置計画は緑の島と水族館、そして海の関係について密度を高めることが必要です.内部/外部ともに空間を意識した建築的表現が出来れば、より魅力的な計画になったのではないか。
(文責:井端 明男) |