大学の部
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金賞 |
東海林孝男君 |
北海道大学工学部建築都市学科 |
消失−忘れられた都市の記憶− |
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長い間、建築という産物は時には人々を守り不用になれば破壊され、社会のニーズに、ある意味で答えてきた。しかし、その死生自体が境位にある。経済との連関により、社会の潮位により建築を不用物に変値させてしまう。この「消失」という作品はある種の社会学的な抽象作品でもある。水没した炭坑都市とダムとの水位による変数との相対性。人の流れの変位とマチと現在の地上とを結ぶ形態や用途が多変する装置との相対性。全てが論理的に展開されている。決して環境を無理矢理外界と遮断し、建築を弄んだものではないことは理解できる。無限と有限の狭間に漂流するこれらの粒子は記憶と共に生き続けるであろう。想像すればする程になんと美しいことだろうか。これは唯一建築を残存させる未来とを結ぶ索条なのかもしれない。
(文責:中山 眞琴君) |
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銀賞 |
西川裕紀君
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室蘭工業大学建設システム工学科 |
界隈の庭 |
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日本の典型的な住宅街の一街区を計画地として現行の容積をそのままにパブリックとプライベートの2種のコモンスペースを発生させながら、既存の住宅地での新しいコミュニティを誘発させるべくプログラムを構築したものである。個の敷地と個の住宅では不可能な計画を街区全体で計画することによりこの案を可能にしたものであり、新鮮味を感じさせる。しかし、コモンスペースと通路との関係にメリハリがなく、また個の住居計画の部分は検討の余地を感じるが、計画全体の着眼、構想力は銀賞に相応しい。(文責:小西
彦仁君) |
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銅賞 |
細谷地舞佳君
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北海道大学工学部建築都市学科 |
澗 tanimizu |
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コンセプト、建築形態、環境との関係、変位、地域との呼応。どれをとっても申し分のないプレゼンテーションである。だがしかし、その欠点のなさが審査員一同気になったのであった。その多面的な解法や、環境との結節点の処理や導入は見事ではあるが、やや不動産的なまとまり方が大人びていて、そつがないが、やはり、私も気になった。
とは言え、水と緑を引き込む事、水位の変化によって路地やステージがあらわれる事、二層から三層程度のボリュームに押さえた事、きちっと小樽のイメージの軟石等を使用している事、house、studio、shop、cafe、gallery、など内容に無理がないなど、非常に具体的で人間的である。最近のコンピューター建築にはない品性があり、建築の基本を忘れてないところが、称讃に値する。
(文責:中山 眞琴君) |
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短大・高専・専門学校の部
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金賞 |
村元由紀子君 |
札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
CROISER le HOTEL −交錯する現在と過去の場− |
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中・高層化されつつある札幌の下町に、既存の倉を再利用したレストラン棟、宿泊棟、管理棟の3棟を、路地と中庭とシンボルツリー等を仕掛化し、歴史と記憶とを内包させながら、良質な外部・内部空間を作りだしている、デザインセンスの優れた作品である。
プログラムの正確さはもとより、プレゼンテーションに多用された素晴らしいドローイング、スケッチが、外部、内部、中間域、素材を含めたテイストをとてもよく表現している。
エレベーター・シャフトは中庭のアイストップとしてではなく、中景の構成要素としてシンボリックに使用した方が、インティメイトな路地・中庭空間と、都市的なスケールとの対比が生かされた様に思われる。
光・影はもちろん色、音、風、香りまで感じさせる作品である。
(文責:上遠野 克君) |
銀賞 |
中尾宏樹君
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札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
FLOWING
SPACE
city planning around a kotoni station |
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琴似駅前に計画された3棟のコンプレックスである。建物単体の計画ではなく、アイレベルによる視線の抜け、アイストップのデザインなどの検討を積み上げながらコンプレックスの配置とボリュームを組み立ており、その結果リアリティーのある全体計画を獲得している。また、内部のアクティビティが開口部を通して街路に染み出していくような、楽しげな雰囲気が伝わってくる。しかし個々の建物における表現主義的な構成は、構造的合理性を欠いている。外壁面を構造体から離すことで自由度を持たせ、街路に対する壁と開口部の量についての研究を深めたほうが良かったのではないか。
(文責:加藤 誠君) |
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銅賞 |
珍田恵一朗君
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札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
“Stretched
Architecture”−THE
SAPPORO
CHUO LIBRARY |
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札幌の中核となる図書館の計画であり、道庁周辺の2街区が敷地として選ばれている。弾性のある直方体の、両端を引き伸ばすことで得られた中央ブリッジに特徴を持たせ、建築のシンボル性を獲得することができた。この手法は、コンテクストを読み込みながら建築をまちになじませていく穏やかな計画手法とは違い、むしろ周囲とのコントラストや矛盾を際立たせることでまちに活力を与えていくのが目的であろう。したがって、道庁を含めた既存建物との対比、札幌特有の格子状街路における異物の姿、といったものを表現することで、周辺に与えた影響を明らかにしてほしかった。また、建物の外壁ラインに押し込められた内部レイアウトは、アクティビティを不自由にしていないかといった疑問が残る。
(文責:加藤 誠君) |
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銅賞 |
二本柳望君
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釧路工業高等専門学校建築学科 |
CUBE
BOX
〜リバーサイドにおけるホテル計画 |
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十勝川の河岸を計画地として選定した、ビジターセンターとロックキューブと名づけられたルーム群から構成されるホテル計画。玉石の積み上げの外装表現が意図することの全てを特徴づける。現地での採取も可能であろう素材によって、立地性と建築の性格付けを明確にするものであり、評価される。ビジターセンターにおける機能構成やロックキューブにおけるルームタイプの多彩な展開など、計画の魅力づけもうかがえる。四季を感じるホテルをテーマにするが、プレゼンテーションにおける色づかいや表現が、意図した心地よさをより表現するものであって欲しかった。
(文責:渡邊 広明君) |
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工業高校の部
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金賞 |
橋場浩二君 |
北海道札幌工業高等学校建築科 |
文化センター |
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大ホールと図書館などの複合施設の提案である。それぞれの機能を主軸のガレリアの両側にブロック配置した、基本に沿った構成である。これによってそれぞれのボリュームの違いを素直に表現でき、外観からもガレリア内部からもそれぞれの機能を認識しやすいように構成している点が特筆される。ガレリアのイメージはあくまで透明で、ふらっと立ち寄れる親近感も意図されている。CG表現も試み意欲的である。
(文責:齊藤 徹君) |
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銀賞 |
渡辺翔太郎君
麻生合歓君
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北海道帯広工業高等学校建築科 |
十勝が丘美術館計画案 |