2005年度
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大学の部
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銀賞 |
青木 潤君 |
北海道大学工学部建築都市学科 |
風の縒る寂景 |
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室蘭という地において鉄を題材に建築化している。私個人としては「金」を付けたのだが、惜しくも、銀賞になってしまった。形態といい、機能といい、都市や建築そのものの連続的なあり様はすごく心地よい。建築が忘れてならない「ベーシック」と云うものを表現されていた。銀の「INSTALL」と比較してみると歴然でコンセプトは面白いが、住めない、又は住みたくないという基本的なものがあって、難しい話だが現代建築の両端を見る様であった。あえて言うならば、「風の縒る寂景」はタイトル通り少し寂しい感じがした。それはスケール感と平面にある気がしているのだが、私だけだろうか。
(文責:中山 眞琴君) |
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銀賞 |
中井孝二君
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北海道工業大学工学部建築学科 |
INSTALL/両親の為の家 |
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この建築は両親のための家である。親子で住む為のプログラムのやりとりを行い、いかにニュートラルな形態を決定するかがこの作品の要であったという。全体をほぼ地下空間に収め敷地両サイドのスリットにより光を内部に入れる。しかしそこは場所性を喪失した空間が広がる。一部地上に露出されたユニットは地下とは対照的に外部と存分に関係を持った内外一体の空間となっている。住宅建築の新しい住み方をコンピューターのハードとソフトに見立て行っているが、概念としては理解できるがこの住宅が何故、この様な形態或いは形式をとったかが重要であり、結局のところいくら抽象化してもつくることでそれを決定せざるを得ない現実がある。また、個が全体(街)にどの様な影響や刺激を与えていくかが建築の行為の大切なところである。それが両立できた住宅は住むことに最も適したものになりえると考える。この作品が自己完結から抜け出しそこまでの広がりを持ったならばもう一つ上の評価もありえたと思う。
(文責:小西 彦仁君) |
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銅賞 |
池村菜々君
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北海道大学工学部建築都市学科 |
Streamscape−グリッド都市の中で− |
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格子状街路(グリッド)を基本構造として都市形成されてきた札幌における、都心からやや離れた円山を舞台とする街区再生プロジェクト。その手法は、グリッド構造に縛られない川の流れに着目し、川に沿いながら建築の流れ、人の流れをテーマとする柔らかな新しい空間構造の導入である。都市の多様性を豊かにすることにおいて、そのねらいは成功している。ただ、設定された街区内を縦断する川の行く先や周囲との関わりは?川に向かう内向き街区が形成された先には何があるのだろう。川の流れを空間構造、建築化するものとして特徴づけているルーバー状の構造体は成功していない。既成都市への問題提起、環境との関わり、都市と環境と建築の新たな有り様等、もう少し踏み込んで欲しかった。
(文責:渡邊 広明君) |
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短大・高専・専門学校の部
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金賞 |
志田彩乃君 |
札幌市立高等専門学校インダストリアルデザイン専攻 |
シピリカ 木構造による藻岩山展望台と付属施設の設計 |
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札幌のシンボルである藻岩山を舞台とする、山頂展望台、第2展望台、ロープウェイ中頂駅舎等施設群の設計である。、木構造によるフォルムデザインといった一貫した施設群設計の姿勢を貫き、山頂の山肌の持ち上げや堀込みによる機能の地中配置といった巧みで説得力ある設計手法を設定し、まとまりのある設計提案として表現しきったことが高く評価された。ただし、建築がそれ自体として兼ね備えるべき空間性やその魅力、提起といった視点においては物足りなさが残った。同一部門における銀賞、銅賞各賞作品がその点において魅力的であったことをここに記しておく。さらなる研鑽を期待したい。
(文責:渡邊 広明君) |
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銀賞 |
三田村暢彦君
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札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
blob−morphic |
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一枚のスラブというより、パーツとしてのスラブがそれぞれに関係し合い「連続的でありながら、差異化された空間を継ぎ目のない操作によって生成する。」発想は、現代的建築アプローチと言える。何か美しい、見た事もない世界観へ我々を魅きつける。しかし、疑問も多少感じた。建築はここまで大袈裟なアプローチは必要ないし、操作する作為はもっと隠れてていいのではないのか。ここら辺に現代の建築の危険性な未路を孕んでいる。
(文責:中山 眞琴君) |
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銅賞 |
宮腰大介君
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札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
洞爺彫刻美術館 |
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建築と彫刻の違いは何か?FRANK.O.GEHRYいわく窓が有るか無いかの違いであるという。それは明快で深い。まさにこの建物は現在の58基の彫刻にプラスされる59基目の美しさを持っている。しかし、そこには建築と彫刻の違いがある、メビウスの輪を二重に重ねた空間はいつしか床が壁となり天井・・・
また床になる二重の間にはガラスが嵌められそれ自体もメビウスとなる。確かに天地の視線の移動が発生し、それは湖、大地、天空へと変化する。だが断面図をみると何故か水平の床がつくられている。この建築はネジレを体験させなければ魅力が薄れる身体の平衡感覚が一瞬奪われるそれがこの空間の醍醐味である。美しい建築にはつい可能性を感じてしまう秀作である。
(文責:小西 彦仁君) |
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工業高校の部
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金賞 |
田伏 洸君 |
北海道札幌工業高等学校建築科 |
Tokashi
Nitai-湖上の森- |
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地域の交流を育む空間づくりがテーマである。図書館、子ども図書館、講堂の3つのマスが独立しながら連結することで、それぞれの機能が干渉されず静かな空間を作り出している。建築を大きな樹に見立ててバランスよく配置しており、そこに自然環境の調和に配慮する姿勢が感じ取れる。トップライトから自然光をダイナミックに取り入れて内部空間を演出する力量も評価したい。
(文責:齊藤 徹君) |
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金賞 |
川P璃以子君
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北海道札幌工業高等学校建築科 |
Place〜子供達の「場」の獲得〜 |
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幾何学的な形態を有機的につなぎ合わせた魅力的な提案です。かたちの集合が全体像としてひとつの個性的なシルエットを作り出すことに成功しており、強いシンボル性も見られます。外部の隙間や空地に対して、建物内部の活動を積極的に連動させていくことができれば、より豊かな提案になったと思います。
(文責:加藤 誠君) |
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銅賞 |
相澤佳那恵君
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北海道函館工業高等学校建築科 |
道の駅 YOU・遊・もり |
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森町から望む「駒ヶ岳」の稜線をモチーフにし、「オニウシ公園」の桜をデザインのアクセントに取り入れた道の駅の作品です。打放しコンクリートの外壁、ガラスのトップライト、桜のデザインの丸窓とサッシュ等をすてきにデザインしています。平面図と室内パースからも楽しい空間構成がよみとれます。「オニウシ公園」側に大きく開かれた眺望、吹抜、中央部のシースルーのエレベーター、2階のラウンジ・食堂と、人の流れも上手に計画されています。2つの三角形の間にある2、3階の屋外展望テラスがもう少し表現されていたら、より魅力的な空間になったと思います。
(文責:上遠野 克君) |