2006年度
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大学の部
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金賞 |
小林隆行君 |
北海道工業大学工学部建築学科 |
密度の森〜アフォーダンスによる建築〜 |
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アフォーダンス、物体が持つ属性(形・色・材質・・・etc)が、物体自身をどう扱ったら良いかのメッセージを物体自体がユーザーに発しているというものであり、知らずとも物体のほうから扱いを教えてくれるという現象を建築化したものである。高分子材料(ゴム・樹脂)のチューブが主たる材料となり床壁の全てがチューブの長さや固さなどにより構成され、さらに構造や断熱にもなり、また長短の状況により座る、転がるなどのアクティビティが誘発され魅力ある空間となっている。人間を包む住居としの可能性をある側面から徹底的に追求した秀作となっている。平面計画にも提案があると欲はひろがる。
(文責:小西 彦仁君) |
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銀賞 |
尾口晴基君 |
室蘭工業大学建設システム工学科 |
湯の輪 |
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隠れ家設計士と呼ばれているらしい僕にとって、「湯の輪」は現実的でもあり、又、同時に非現実的でもあった。全体にリンクする埋没された建築は自然と湯と人との相関をテーマにしたものだった。実直で本来の建築の役目を素直に表現した素晴らしい作品である。豊かさとは、行方のないプログラムなんかよりずっと役に立つ。そして人を幸せにするものだと思う。あまりにも過度の操作をされた作品に刺激は受けるものの、なんの感動もない。それは一過性にすぎない事を我々は知っているからである。そんなムーブメントの中で、あえて単純に豊かさを求めた作品である。
(文責:中山 眞琴君) |
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銅賞 |
小瀧奈々君 |
北海学園大学工学部建築学科 |
Boundary line of fetal movement −−−胎動の境界線−−− |
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この建築のテーマは現代の醜悪な橋を建築の力でどうにかしようという意欲的な作品である。もっと川と人々が触れ合ってほしいと、季節によって、又は毎日変化することに着目したことや、一部水没する様はなかなか秀作である。金賞に次いで2番目の票であったが、検討の末銅賞に留まったが、金賞の場所性のないライトなフェースよりヘビーで僕としては好感が持てた。形態的にはかなりグロテクスでシャープなのが印象に残ったが、バーズアイでないとこの全貌が分からないのがとっても残念である。あらゆる角度から検討されつくした力作である事は間違いない。
(文責:中山 眞琴君) |
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短大・高専・専門学校の部
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金賞 |
西田秀己君 |
釧路工業高等専門学校建築学科 |
線路のところ(小樽市旧手宮線跡地北部における新しい観光と生活スタイルの提案) |
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小樽手宮における、地元アーティストのための活動の場と観光施設を組み合わせた、意欲的なコンプレックス案である。様々な施設に特徴ある形態を与え、それらを緑で覆われたパーゴラによって緩やかに連結させることで、複合施設としての一体感と、光に満ちた多様な場所をつくることに成功している。今後の展開として、個々の施設の独立性を弱め、機能の一部を可能な限りパーゴラシステムに融解させることで、より活動的な場所をつくるとともに、利用者相互の交流を促す仕組みについて考えてほしい。
(文責:加藤 誠君) |
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銀賞 |
葛西 敦君 |
札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
Voronoi Diagrams |
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この作品は、ヴォロノイ分割という方法で空間の決定をおこなうことにより、新しい空間をつくろうというものである。また設計者の恣意性を可能な限り排除することも目的であるという。しかし、建築をつくる行為が発生した時点で建築空間が持つ機能を処理することが必然となりそれは極めて設計者の思惑のままに決定されていくのである。この空間がもう少し単機能なものであればピュアにこの方法と空間が解けたのではないかとおもいつつも、このようなテーマを具現化しようとする意欲は賞賛できる。
(文責:小西 彦仁君) |
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銅賞 |
鈴木雅三君 |
札幌建築デザイン専門学校建築工学科 |
Carry Space |
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1820×910×21のシナ合板を6分割したパネルを交差組合せしたものを基本UNITにし、金属製ジョイント金物で床・柱・梁を構成し、それらを組み合わせる事によって出来る可搬空間の提案。各UNIT、金物、モックアップのプレゼンテーションは正確で美しいのですが、ジョイント金物のオリジナルな展開と、単にキュービックな空間だけではなく、多様な組合せによる連続的空間、又、屋根・床・外壁素材への提案がなされていると、より多様な可搬空間の表現が出た様に思います。
(文責:上遠野 克君) |
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工業高校の部
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金賞 |
真鍋清美君 |
北海道札幌工業高等学校建築科 |
Cubby 〜新しい感性・豊かな環境〜 |
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ゆとりと安らぎ、自然との接触をテーマした幼稚園の計画である。間仕切りの少ないオープンな構成の園舎をグループ別に分節化させて、それぞれを住宅のような立体スケールでとらえている。さらに中庭の自然環境を間に挟みながらこの園舎を連棟させた配置形式を採用している。オーソドックスではあるが基本を踏まえた計画力を第一に評価したい。バルサ材で制作した園舎棟と芝生の外観模型も力作で十分評価したい。できれば、中庭の活用をイメージさせる図面表現がほしいところである。
(文責:齊藤 徹君) |
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銀賞 |
森 文也君 |
北海道名寄光凌高等学校建築システム科 |
総合型コンサートホール サンピラーホール |
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合併という地域の新しい枠組みの中で求められる、多機能な総合型ホールの提案である。作者の強い建築への思いは、細部までこだわった力強さを感じる模型に込められている。計画における動線への配慮は、平面図に現れている。ただ、断面図においては内部空間を、立面図や屋根伏せ図では素材感や立体感を表現できれば良かった。バランスのとれた完成度という点において、銀賞に甘んじた。今後の修練を期待します。
(文責:渡邊 広明君) |
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銅賞 |
是元佑太君 |
北海道旭川工業高等学校建築科 |
「Second Development」 |
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都市計画を視野に外部空間のあり方を提案した作品である。旭川の賑わい空間を取り戻すことをテーマに、飲食街、買物公園とイベント広場を新たに構成した都市軸上に配置し、その都市軸を45度に振ることによって既存の地区間を結びつけたダイナミックさが印象的である。パースやアイソメトリック表現を試み、都市デザインを卒業設計の対象した姿勢を評価したい。一方、外部空間とストリートファニチャー類のスケールの整合性は今後の課題としたい。
(文責:齊藤 徹君) |
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