日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!32号
学生シリーズ

「福井市下馬地区における本社ビル新築計画」

西井 祥子
(福井工業大学工学研究科修士課程建設工学2年)



 福井工業大学五十嵐研究室では、学生達が頭を悩ませながら「HIGEプロジェクト」に取り組んでいます。
去年の秋頃、ある会社の本社ビルを福井市の下馬地区に新築する計画が持ち上がり、五十嵐准教授に設計の依頼が来ました。依頼主の社長は大変ユニークな方で、「学生が考えた、新しい本社ビルを見てみたい!」と、今回の設計に研究室の学生が参加できる機会を与えてくださいました。
  今年の3月、五十嵐研究室から6名の学生が、会社から与えられた条件と計画敷地に、自分達のアイデアを盛り込んで設計した案を、パネルや模型、アニメーションを用いて、会長と社長にプレゼンテーションを行ない、高評価をいただきました。
現在、各学生案を盛り込んだ図面を五十嵐准教授が纏め、その図面を中心に、エントランスロビー、食堂、トイレ、屋上庭園、サイン、そして外観デザインの各担当を学生の中から設けて、具体的な設計に入っています。
その中で、私はトイレのデザインを担当することになりました。オフィスビルのトイレは、社員みんなで使う場所であり、社員一人一人が最もリラックスできる場所として、デザインを考える上で肌理細かい配慮が必要となりました。また、社長や従業員の方々からも、新しい本社ビルに対する要望書が研究室に届き、トイレについても私が今まで気づかなかったことや、意外な意見を知り、会社全体の強い意気込みを感じました。
毎週水曜日の午後1時からのミーティングで、各担当者がそれぞれスタディ模型や図面を用いて中間報告を行い、熱い議論を交わしています。時には、なかなか思うような形を提案できずに悩み苦しむこともあります。しかし、学生同士で議論を重ねる上で、少しずつですが、突破口が見えてきたと思います。6月中旬までに纏めて、社長に最終プレゼンテーションを行い、年末に着工予定なので、これからが勝負だと感じています。
今回この様に、本物の物件の設計に学生が参加することは、設計を学ぶ上で本当に貴重な体験だと日々感じています。建築の知識だけでなく、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を上達させる最も良い機会に感謝しながら、プロジェクトチーム一丸となってこれからも頑張っていきたいと思います。