日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!32号
若手優秀プレゼンテーション賞 受賞にあたって

「卒業研究の学会発表

春本 雄一
(信州大学大学院工学系研究科社会開発工学専攻修士課程2年)

タイトル:
長野市における都市交通の現状と自転車利用実態の把握 <環境系>








 近年、人と環境にやさしい交通手段として自転車を見直す動きが高まっている。長野県長野市も例外ではない。しかし、長野市では自転車利用実態が明らかになっておらず、今後の自転車利用促進に向けた基礎データが欠如している。そこで本研究では、交通量調査を行うことによって基礎データを取得した。また、交通シミュレーションソフト(WATSim)を用いて自転車交通量が自動車交通量に与える影響に関して検討した。なお、交通量調査地点の位置と名称は図1に示す。

 その結果、自転車道(図2)は十分に利用されていることが分かった(図3 地点別の自転車及び自動車交通量調査結果(8:00〜8:30))。また、橋梁部において、通勤ピーク時における交通渋滞が顕著であることが分かった。橋梁部端の歩道において、自転車利用者は少なかった(丹波島橋除く)。これは歩道の幅員の違い(自転車道に比べて狭い)が影響していると思われる。

 本研究では、WATSimを用いた。WATSimは、アメリカのKLD社によって開発された汎用の広域交通マイクロシミュレーションソフトである。はじめに、交通流の再現性の検証を行った。交通量調査で得られた実測値とシミュレーション上での出力結果を比較した。その結果シミュレーションにより、実際の交通量が高い精度で予測されることを確認した。図4に東鶴賀町と荒木の相関図を示す。交通シミュレーションの結果、自転車道と同じ位橋梁部において、自転車利用が進めば交通渋滞の解消にある程度効果があることが推測された。

受賞の感想
 この度は、日本建築学会北陸支部大会若手プレゼンテーション賞を頂きまして大変うれしく思っております。私の大会における発表はこの大会(2007年)が初めてであり、非常に緊張していたことしか思い出せません。学外の研究者の方々に研究内容を見て頂く事は、まだまだ成長著しい修士生にとって、非常に貴重な経験であり、この経験が後の研究に役立ったことは言うまでもありません。また、就職活動において研究発表する機会があったのですが、この際学会での経験が生きました。本当にありがとうございました。
  最後に、発表に際して工夫したことを述べたいと思います。
@顔を上げて大きな声で話す(原稿はなるべく使用しない)
A要点を簡潔に示す(長文にしない)
B図は大きく示す(詳細な説明は口頭で)
Cアニメーション機能を効果的に使用する(リズムが生まれる)