日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!32号
若手優秀プレゼンテーション賞 受賞にあたって

「卒業設計のプレゼンテーションを終えて」

望月翔太
(信州大学)

タイトル:
建築設計における「偶然性」の研究 
<建築作品>
  







  このたび「若手プレゼンテーション賞」という名誉な賞を頂きまして、非常に光栄に思います。この賞を受賞したことで、その後の自分のプレゼンテーションにさらに自信が持てるようになりました。また、この賞が就職活動での私の強みになったことは言うまでもありません。実際のプレゼンテーションでは、1つのシートでは1つの要素だけを説明し、なるべくビジュアルに力を入れて視覚で見ている人に訴えかけるようにしました。

 私が提案したものは、「建築設計における「偶然性」の研究」という「偶然性」をテーマに行った卒業研究です。設計手法の段階で「偶然性」を空間構成的に適用させることで、計画的に作られている空間構成に変化を与えられるのではないかと思い、「偶然性」を秩序としてシステマティックに設計手法に適用させることを考えました。「偶然性」から多中心性、ゆらぎ、自然という3つの要素を抽出、それらを設計手法に適用し、「偶然性」の性質を内包する建築を表現しました。「偶然性」は、一見人的作用からかけ離れたものに思えますが、「偶然性」から派生した「ゆらぎ」は、人間の性質の随所に見ることができることに面白みを感じます。「偶然性」の性質をもつ建築と、それを利用する「偶然性」から派生した「ゆらぎ」の性質を持つ人間とが影響しあうことでクリエイティブな空間が生まれることを期待しました。

 敷地は神奈川県横浜市です。2009年に開港150周年を迎える横浜市は、音楽やアートの活性化に力を入れています。そこでそれに関連する施設としてアーティストのためのスタジオと一般の人向けの宿泊施設、アーティストの発表の場を有したアーティストコンプレックスを提案しました。アート作品、アーティスト、一般の人、観光客が、「偶然」から生まれたこの空間での交流により新しいものが生まれ、横浜市の活性化に繋がることを目指しました。

 「若手プレゼンテーション賞」は今回でまだ2度目の試みのようですが、この賞がさらに名誉な賞に発展することで、北陸支部大会が今後さらに有意義なものになることを期待しております。