今回若手プレゼンテーション賞を頂いた発表論文のタイトルは「福井県若狭地方の神社の拝所について−(1)独立型拝所の建築形式−」である。
タイトルにある拝所とは、本殿の前にある社殿のことである。これは参拝者が礼拝するところで、古くは祝詞を奏上していた場所でもある。この拝所は福井県内でも越前地方にはほとんどみられず、若狭地方の神社建築の特徴の1つである。
拝所には、図1左側のように本殿の前に独立してたつものと、右側のように本殿が鎮座する覆屋から張り出してつくものがある。本研究では前者を独立型、後者を付設型と呼んでいる。この2型式の拝所は建築形式などに違いがみられ、独立型は総体的に装飾性が高く、細部形式なども整っていて建築的質が高く、付設型は比較的簡素な造りが多い傾向にある。受賞した論文ではこの2型式のうち特に、前者の独立型拝所について発表した。
受賞時の研究成果としては、規模が1間×1間、床が石敷あるいは土間、壁や建具などがない四方吹き放しで、屋根は唐破風造または入母屋造とするものが、独立型拝所の典型的な建築形式であること(写真1)やこれらは出三斗、獅子や獏の木鼻、龍が施された蟇股など整った細部形式ももっていること(写真2)、若狭地方内でも分布状況に差がみられ、特に小浜市や若狭町がある中部及び東部で多くみられことなどを解明した。
発表はPowerPointを使って行い、文字や図版などを適時アニメーションとして表現した。これによって、限られた時間の中でも、研究成果を効果的に発表することができた。そして、写真や表を多用することや文字は簡潔かつ大きくすること、発声は大きな声でハッキリとゆっくりとすることなど、発表する上での基本的なことを最も心がけて行なった。 今回の受賞は、後の研究を進めていく上での励みとなり、現在も拝所に関する研究を続けている。その成果については本年度(平成20年度)の日本建築学会全国大会、支部大会で発表する予定である。
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