日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!32号
若手優秀プレゼンテーション賞 受賞にあたって

◆受賞にあたって

都丸 恵理
(新潟大学大学院自然科学研究科環境共生科学専攻博士前期課程 )

発表タイトル:
レストランにおける受動喫煙に関する基礎的研究
 <環境系>





  今回プレゼンテーション賞をいただいた研究は、日常で感じていたちょっとした居心地の悪さを解決したいという気持ちから始めたものでした。現在、タバコ煙の健康へのリスクは広く知られており、公共空間での禁煙化・分煙化が進んできています。しかし、分煙されているから非喫煙者にとって快適な環境かというと、そうでは無いことも多くあります。私はタバコが苦手なので禁煙席を利用するのですが、喫煙席から流れてくるタバコのにおいを感じることがよくありました。そこで、従来粉塵濃度で評価されていたタバコの煙を臭気で評価することを考えました。研究には数値流体解析ソフトを用いました。ファミリーレストランをモデル化し、喫煙席、喫煙本数、換気回数を組み合わせた計30caseの室内の粉塵濃度及び臭気強度の分布状況を解析しました。そして、「粉塵濃度の室内環境基準を満たす配置であっても、臭気に関しては認知閾値濃度以上であることがほとんどであり、従来の粉塵濃度によるタバコ煙対策が臭気に関して良好な室内環境を実現するとは言い難い」という結論を得ました。

  この研究結果を多くの人に分かりやすく伝えたいと思ったので、プレゼンテーションは、ぼうっと見ている人の気を引けるくらいインパクトのあるものにしたいという思いが強くありました。文字をなるべく使わず図で見せること、特に粉塵濃度や臭気強度分布の変化を絵で示したことが分かりやすさに繋がったのではないかと思っています。また、先生や先輩に何度も発表練習を見ていただき、改善すべき点を指摘してもらったことで、自分では気づかなかった分かりにくい部分を知ることができました。何度も発表練習を見てもらうことの良い点は、プレゼンテーションの完成度が上がるのと同時に、過度に緊張しなくなるということがあります。私は人前で緊張してしまうタイプなのですが、この練習のおかげで北陸支部大会ではリラックスして発表することができました。

 今回このような名誉ある賞を受賞することができ、大変嬉しく思うと同時に更に頑張っていこうという励みになりました。今後は研究に取り組みながら、人に伝えるための努力もして行きたいと思います。