日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!32号
若手優秀プレゼンテーション賞 受賞にあたって

◆発表の心構え

森原 崇
(石川高専 )

発表タイトル:
PAC分析を用いた商店街の印象に関する研究
 <環境系>



 この度は、若手優秀プレゼンテーション賞を賜りまして、心から嬉しく思っています。
  発表テーマはPAC分析を用いた商店街の印象に関する研究です。これは、多くの商店街が衰退・停滞しつつある状況下において、現状の利用者が商店街に抱いている印象を探ることによって、商店街の長所を見つけ出すとともに改善点を探ることを目的としています。PAC分析は評価対象の認知構造を探るための分析手法の一つであり、個々の認知構造を導きやすいという利点が被験者に自由な言葉で商店街の印象を表現してもらいたいとう私の主旨と一致していたので適用しました。
  実験は本校の学生14名を対象に実施し、活動性と雰囲気、見た目、機能性、経済性と客層という5つの軸で商店街の印象を捉えているという結果を得ることが出来ましたので、今後は実際の主な利用者である年代の方を対象に印象を探っていくことが課題です。

 では、研究内容を発表する際に私が気をつけている点を2つ以下に記したいと思います。
  学会の研究報告会では必ず時間制限があり、与えられる時間が短いほど発表も難しいです。決められた時間内に自分の一番言いたいことを聴衆の方に理解してもらえたらその発表は成功したといえるでしょう。そのためには、自分の発表内容を聴衆の方に理解してもらいたいという「気持ち」が大切だと私は考えています。私は初めての学会発表の時は非常に緊張していて「早く終わらないかな」とか「厳しい質問が来なければよいな」しか思いませんでした。それでは発表するという行為(ノルマ?)をこなしただけで、自分のためにはなりません。何十回と発表してきた今でも発表時は緊張しますが、発表の後に質問やコメントがないと自分の発表が悪かったと反省するようになりました。発表資料も聴衆の知識度に合わせて作成します。
  もう1つ重要視していることは、「発表練習をする」ということです。できれば友人など聴衆の前で本番のように練習できればよいのですが、それができない場合は一人で見えない聴衆に話しかけるように練習します。本番に見立てて練習することで、自分の話すスピードを確認し、クリックのタイミングや言いにくい説明や言い回しなどがわかってきます。発表原稿は作成しますが、当日に読まなくても大丈夫なくらい練習しています。相手に伝える気持ちをもってたくさん練習すれば、本番ではきっと意義のある発表になることと私は思います。