日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!33号

北陸支部大会の報告

遠藤 新 
(金沢工業大学環境・建築学部建築都市デザイン学科講師、2008年度北陸支部研究委員副委員長)


写真1 シンポジウム


写真2 学生シンポジオン1


写真3 学生シンポジオン2

  去る7月26日(土)27日(日)の二日間にわたり金沢工業大学を会場として建築学会北陸支部大会が開催された。

 初日は秦支部長の開会挨拶を皮切りに、シンポジウム、北陸建築文化賞表彰式ならびに発表会が行われた。
  今年度のシンポジウムは「近年の北信越地方における地震被害と災害復興」をテーマに、中越地震と能登半島地震における被害と復興状況の報告、長岡市山古志地域での自立再建支援に関する報告、中越地震で被害を受けた柏崎市の歴史的建造物の復興状況報告、被災木造建築の耐震改修に関する事例および活動報告、輪島市門前町黒島地区における震災復興の活動報告が行われた。5人の講演者からの白熱した報告は3時間以上に及んだ。
  引き続き行われた北陸建築文化賞表彰式では、北日本新聞「創造の森『越中座』」、金沢ライトアッププロジェクト『月見光路』、妙高市立新井南小学校ひまわり保育園、開運堂あづみの菓遊庭の4件が表彰を受けた。続く発表会では4氏による受賞作品およびプロジェクトの概要がパワーポイントによる画像とともに紹介され、会場客は熱心に聞き入った。発表会後には大学内の食堂を会場として、実務者、研究者、学生を交えた立食形式の懇親会が行われ、活発な情報交換が行われるなど賑わいを見せた。

 二日目は午前中に研究発表会が、午後からは学生シンポジオンが行われた。
 研究発表会では、材料・構造系41題(トピックス・テーマ「地震と建築」の8題を含む)、環境系29題、計画系68題、建築作品5題、合計143題の研究発表と質疑討論が活発に行われた。なお、数年前から研究発表会の会場では満30歳以下の若手研究者等を対象とする「プレゼンテーション賞」の審査が併せて行われている。今年度は66題の発表が審査対象となり、審査委員による審査の結果14題が受賞した。また、建築作品の会場では初日より作品展示(北陸建築文化賞作品、2007年度支部共通事業設計競技優秀作品、北陸支部大学高専卒業設計優秀作品展示)が行われ、北陸支部における設計活動の盛り上がりの一部を垣間見ることが出来た。
 学生シンポジオンでは「2008年、この惨憺たるも愛しきまちへ…」というテーマのもとに5つの学生グループ(福井工業大学2グループ、富山大学1グループ、金沢工業大学2グループ)による力の入った口頭発表と討論が行われた。各グループはパネルもしくは模型を持参し、これまでの活動成果報告を行った。参加学生は約90名の4時間以上に及ぶ発表と討論からは、学生のパワーを改めて感じることができた。この熱気は来年度にも間違いなく引き継がれていくことであろう。

 以上、2日間におよぶ全プログラムは無事終了した。来年度の開催地は富山である。今年度以上の盛り上がりが期待される。