日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!34号


「能登半島地震からの復興と現在」報告



村田 一也 (石川工業高等専門学校建築学科 准教授)
森原 崇 (石川工業高等専門学校建築学科 助教)


図1 七尾美術館


図2 情報処しるべ蔵


図3 七尾市街


図4 穴水モデル住宅


図5 穴水シンボルロード


図6 ラポルト珠洲


図7 総持寺

 石川支所では、建築文化週間2008企画として「能登半島地震からの復興と現在?能登の建築」と題した見学会を開催しました。この見学会は2008年10月12日(日)に実施され、一般参加者4名を含む計21名が参加し、講師として村田一也、森原崇(ともに石川高専)が引率しました。

  参加者は朝9時に津幡駅に集合し、まずは10時過ぎから七尾美術館を見学、そこから七尾市街を散策しました。七尾市街の散策では七尾フィッシャーマンズワーフを散策の拠点とし、七尾のまちづくり拠点である情報処しるべ蔵を訪れ、歴史的な建物の数々が積極的に残される一本杉通り商店街をはじめとする中心商店街を講師の解説により散策し、能登のまちづくりの在り様について見聞を深めました。

  13時過ぎからは穴水町中心商店街を散策し、ここでは特に能登半島地震からの復興の状況についての見学が行われました。穴水町は震災被害が門前同様大きく、仮設住宅が建てられ早急な復興が望まれた町でした。震災から1年半が経とうとしている現在の穴水町では、穴水駅から中心商店街へ直結するシンボルロードの建設が進み、店舗を併用したまちなか居住のモデル住宅が建設され、それらを見学しながら、震災により倒壊した建物が取り壊され空き地の増えた商店街の現状をつぶさにみて歩きました。

  14時半には珠洲に到着しラポルト珠洲を見学、16時頃総持寺社殿を見学し帰路につきました。総持寺社殿は能登半島地震の震源に近く、多大な被害を受けており、現在も修復が進んでいます。ずれたままの石垣や門柱、剥落した壁などが残り、震災被害の甚大さを知ることのできる場所となっています。

  各施設見学およびまちなみ散策にあたっては時間の都合上、若干のスケジュール変更はありましたが、能登半島地震からの復興を知りうる見学地を見学することができました。能登半島地震の発生から2009年3月で丸2年が経ちますが、大規模な震災復興事業への着手からはじまった復興計画は、まちなみの復元やまちの活性化の方法の検討・実施へと徐々に移行しており、今後も能登地域の復興活動は持続的にすすめられるものと思われます。今回の見学会では、そのような復興のための活動の一端をみることができたのではないかと思います。