日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!34号
支所だより 〜福井〜

福井市における都心居住施策

森川 清和
(福井市建設部住宅政策課)


住宅建設が進む福井駅西地区

  福井市では、中心市街地活性化の一環として、平成16年より都心居住の施策を展開している。「ウララまちんなか住まい事業」である。この事業は、共同住宅・戸建住宅の建設補助、リフォームに対する補助、まちづくり計画の支援補助であり、当時、議会とのやり取りの中で時限で認められ、今年その期限を迎える。しかしながら事業による効果は認められるものの、まちなかの人口は、相変わらず減り続けており、当初の目標である「減少の歯止め」となるまでには至っていない。昨年、この状況に対応する新たな施策や事業継続の是非を、住宅基本計画の策定の中で検討、議論してきた。現時点では、施策の継続と対応策を、打ち出す予定である。

  今回の新たな対応策の概要は、次の2点である。1点目は、二世帯住宅建設の推進であり、まちなかで建設及び購入される方に、その費用の一部を助成するものである。従前の居住者が、世帯分離を契機に郊外に転出する傾向がある中で、その世帯をまちなかに留めようとする試みである。福井市における三世代同居率は、近県の自治体に比べて比較的高く、その特性をさらに高めようとするものであり、子育て支援の面にも効果があると考えている。

  2点目は、戸建て住宅のリフォームの支援であり、職住近接住宅への補助要件の拡充である。これは、まちなかにある店舗併用住宅等で、使われていない上階の住宅部分をリフォームして再利用していただこうとするものである。またこのような建設、リフォームを検討する初期の段階に、専門家を派遣するアドバイザー派遣制度も同時に創設する。しかし分譲住宅の購入補助については、一定の効果があったとして、今回廃止する方向である。

  最後に、「市民は、まちなかに住む魅力を感じなければ、あえてまちなかに住宅を求めない」ことを胆に銘じ、交通、商業、住環境の面からも魅力のあるものになるよう、住宅政策だけでなく関係部局へ働きかけたいと考えている。