日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!34号
支所だより 〜長野〜

お施主様の意識変化

田淵 悟
(建築デザイン工房田ブチ)



写真1 緑のカーテン
(中部電力HPより)



写真2 打ち水大作戦
(打ち水大作戦HPより)



写真3 古材活用

私は、住宅を中心に設計させていただいているが、最近のお施主様の考えとして、環境に対する意識がより高まってきたように感じる。(自然力を活かしていくという事務所の方針から、そういうお客様が多いのかもしれないが。)

その要因として、長期優良住宅の促進や太陽光発電の補助金といった国の政策が整備されてきていることが大きくある。
京都議定書から、かなりの時が経つが、ようやくエコ意識が一般的に根付いてきたようだ。

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出量の1/3をも建築関連が占めることから我々建築に携わるものとして、環境への配慮を担う役割は大きい。
環境と建築の共生は永遠のテーマのように思う。

我が長野県においても、「長野県ふるさと信州・環の住まい基本指針」を策定中であり、CASBEEの評価を用い、環境共生と地域の産業循環に配慮した信州型住宅のモデルを確立していくものである。

このようなモデルは、木造住宅に限定せざるをえなかったのだろう。
生産や加工に伴うエネルギー消費量が極めて少なく、炭素の放出量も抑えられる。
また県産材の活用といった観点から限定されていると思われる。

環境性能を考えると、木造がやはり一番エコなためだ。

住宅とは、住まうという暮らしを行う家族のいる場所である。
画一的な商品ではなく、その土地、場所にあった、その家族ならではの造りでなくてはならない。
モノとして考えるのではなく、世代を超え永く住み継がれる家造りをすることで、住まいが生まれ、環境への負荷も同時に軽減されていく。

最近行った簡単な装置として、緑のカーテンがある。(写真1 中部電力HPより)
簾の効果に加えて、植物ならではの楽しみがあった。
ぐんぐんと育っていく様子を皆さんがうれしそうに逐一報告してくれる。
そのように楽しみながら貢献できるのが一番ではないか。

また打ち水大作戦が松本においても行われていたが、それを取り入れ、雨水タンクを設置し打ち水に利用した。(写真2 打ち水大作戦HPより)

再利用品として古材の利用がある。建替時解体した建物から転用させ、時代を繋いでいく手法としてよく行う。インテリア的な要素として、活用することもある。(写真3)

チーム・マイナス6%の活動がそうであるようにエコに対して個人それぞれが意識をもち、建築に関わるものとして何ができるのか、今以上に考えていかなければならない。