日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!35号


「アーキニアリング・デザイン展」巡回展(北陸支部)の報告

西村 督
(金沢工業大学 環境・建築学部建築系 准教授)


 
写真1 会場の様子


写真2 会場の様子


写真3 斎藤先生の講演


写真4 飯島氏の講演


写真5 望月氏の講演

  本展覧会は、建築(アーキテクチャー)の設計・生産を支えるエンジニアリング・デザインをアーキニアリング・デザイン(Archi - Neering Design)と呼称し、模型によって歴史的発展過程から、未来の建築へ向けての示唆と提案をしようと意図して企画されたものです。

  開催場所は、金沢駅もてなしドーム地下広場です。展覧会の内容は、5/14(木)〜5/20(水)の7日間の模型展示と5/17(日)の講演会です。模型は約120点の建築構造の仕組みがわかるように工夫された模型が展示されました。開催初日の前日に、日本建築学会本部を代表して日本大学 宮里直也先生と学生、日本建築学会北陸支部は金沢工業大学建築系の研究室、そして日本建築構造技術者協会(JSCA)中部支部北陸部会の総勢約40名で設営を行いました。展示された模型の大半は全国の大学生が作成し、本展覧会では、金沢工業大学建築系学生の意欲的な作品も数点展示しました(写真1, 2)。また、日本建築構造技術者協会からは、建築構造設計士の業務、建築構造の仕組み、JSCA賞作品のパネルが展示されました。5/17には、斎藤公男日本建築学会会長、飯嶋俊比古氏(株式会社飯嶋建築事務所 代表取締役)、望月利男氏(太陽工業株式会社 技術顧問)の三名に講演をしていただきました。斎藤公男会長は“「空間と構造」−世界遺産はなぜおもしろいか”と題して、本展覧会の趣旨と古今東西の建物の特徴を説明していただきました(写真3)。飯嶋俊比古氏には、“新しい建築材料 −アルミニウム− のテクノロジー” と題して、アルミニウムが建築構造材料として現在に至るまでの技術革新や建築作品を紹介していただきました(写真4)。望月利男氏に“新しい建築材料 −膜− の歩みと未来”と題して、テントが膜構造として認知されるまでに歩んできた技術開発と地球環境を配慮した21世紀の膜構造の姿について説明していただきました(写真5)。講演会後は、建築関係の仕事に従事されている方々が三名の講師と意見交換をされており、建築デザインおよび建築技術の動向を発信するよい機会になったと思われます。講演会当日の来場者数は569人、講演会では150人を超える市民の方々が聴講され、非常に盛況でした。7日間で来場者数は延べ1,662人、幅広い年齢層の方々に来ていただきました。

  最後に本展覧会を無事、終えることができましたことに対して、関係諸団体、関係者各位に心より御礼申し上げます。