日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!35号
支所だより 〜長野〜

素材の妙?

五十田 博
(信州大学工学部建築学科 准教授)



写真1 木目調弁当箱


写真2 木目調歩道


  学生時代から一貫して木造建築の研究をしてはいるものの、所属していた研究室は木材が専門というわけでなかったようだし、最近は縁あって木材以外の材料を対象に実験などをすることが多い。先日は鉄板を張ったPC壁の強度実験を実施したり、アルミニウムを木造の耐震補強に使おうとアルミニウムフレームの実験をやったりしている。レンガも実験したし、最近は鉄骨造と木造のハイブリッド構造から鉄骨造だけの構造までも研究対象になってきている。

  改めて構造材料の適材を論じるつもりはないが、やはり鉄という材料は設計したとおりに壊れてくれるので扱いやすい。一方、コンクリートや木材は思いのほか強かったりもろかったりする。また、素材感ということになるとやはり木材の肌触りがいいとか、温かみがあるといかいうことになる。で、日本人は木材に愛着があるとか言う話しをよく聞く。以降の話は多少、東京大学生産技術研究所腰原先生の受け売りだが、なぜ日本人が木材を好きなのか?に関連して探した偽の木材についての一話。

まず、木目があるけど木材で作られていないもの。 まさに偽の木材。
壁紙、机、歩道、ベンチ、建築を離れても、弁当箱、なんかすぐに思いつくが、探し始めると結構ある。次いで、わざわざ木材で作らなくてもいいのにっていう木材で作られたもの。名刺、パソコン関連製品(マウス、ディスプレー)、自転車、車。

木材の有効利用も必要だが、適材適所ってものもがある。パソコン製品は幾分行き過ぎの感がある。ついでに、食べ物で木材みたいなものを探すとバームクーヘンにブッシュドノエル。はたして木目や木材っておいしく見えるのだろうか。