日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!36号
支所だより 〜福井〜

土に学ぶ

吉田 恵子
(鰍ニきわガーデン専務取締役 彩園店長兼任/園芸装飾技能士、造園施工管理技士)



図1 室内園芸


図2 バルコニーガーデン


図3 屋上ガーデン


図4 壁面緑化


  私は、現在庭つくりに携っています。室内緑化・外構・庭をプランし施工する上で、植物の生育を助ける健全な土壌つくりの為に、様々な土を見てさわって、植物の特性や植裁場所に応じた用土を選別し、また、土壌の改良や、排水を考慮したプランを実行しています。

  身近に自然を取り入れたいという想いが、住まいに庭をつくり、現在、私は鉢植えや室内園芸も楽しみます。多くの用土が比較的安価で手に入り、土壌改良や鉢植えを様々に試すことができるようになりました。

  用土の開発は、鉢植え、室内緑化の普及によるものが大きいといえます。当社の1部門である貸し植木業(現グリーンレンタル業)は、昭和初期に愛知県や九州の指宿などを中心に発展し全国的に広まりました。様々な熱帯植物が発掘され、その生育に適し、またレンタルシステムでの移動可能な、軽くて清潔な用土つくりが研究されています。

  鉢植えの基本用土は、赤玉土と腐葉土(6:4)で作ることが出来ますが、たとえば通気性・排水性を良くするにはパーライトや沸石ゼオライトを混ぜ、保水性や保肥性を保つにはピートモスやバーミキュライトを混ぜてつくります。

このような用土の特性を知ることは、室内緑化・屋上緑化・壁面緑化と、様々にカタチを変えて、生活空間に自然を取り入れることを容易にしました。深刻な環境改善策の緑化計画を支えています。
比重の軽い用土を使った屋上ガーデンに携わったときは、真夏の芝庭で愛犬とともにくつろぐ施主さんの「階下温度も期待以上の効果があった」と喜ぶ笑顔に、感動しました。

また、私の周りではガーデニングや家庭菜園を楽しむ人々が増え、家庭用耕耘機を使う女性の姿を見ることも珍しくありません。「庭の一部を家庭菜園にしたい」というご要望や、畑の土壌改良のご依頼の機会もあり、彩園でも実際に家庭菜園を始めました。花壇を耕し、秋にタマネギとイチゴを植えました。楽しみが増えます。

観察日記は『彩園の菜園ブログ』で公開しています。

土壌の恩恵を積極的に享受したい、それが自然との正しいつきあい方であり、私たちの学んでいくことなのでしょう。