日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!37号

ご挨拶
−多くの会員が学会の活動に繋がる仕組みをめざす−


西村 伸也 
(新潟大学工学部建設学科教授・副学長、日本建築学会北陸支部長)



西村支部長

  今年の6月に日本建築学会北陸支部の支部長に選出されました西村伸也です。まず、今夏富山大学で行われた日本建築学会大会では富山支所を中心とする会員の方々のご努力が実り、発表題数6,788題・登録参加者が9,680人(これを「クローハレ(苦労晴れ)」と読んでいます)で過去最大の大会になりました。ご努力いただいた支部会員の方々にお礼を申し上げるとともに、一緒にこの成功を喜びたいと思います。

 さて、本紙面で支部長就任のご挨拶をさせていただけることになり、私のこれまでの研究・活動の紹介と支部長としてこうあったらいいなと考えている目標をご紹介いたします。すでに、目標は題辞に書いたとおりでこれ以上のことはありませんが、まずは、自己紹介から。

自己紹介:
 新潟大学の工学部建設学科に所属して、建築計画・意匠の教授をしています。学校計画・まちづくりを中心に研究教育をしながら、出来るだけ建築・環境を創造する場に身を置くことを目指しています。新潟の学校や住居を調査したり、中国東北部とフランス南部の集落を歩いています。研究の対象は学校空間の生徒の行動であったり、町家の空間や集落のかたちまで様々で、この中で建築空間がもっている今は見えなくなっている仕組みを読み解いていこうとしています。
 この研究の線上に実践としての設計を獲得しようとしてますので、うまくいったりいかなかったりです。計画から設計までの係わり方には深浅がありますが、計画をした聖籠町立聖籠中学校・私立北越高等学校、設計・デザインを行った新潟大学科学技術悠久会館、あゆみ保育園等のプロジェクト実践を経験しながら、毎年少しずつですが新潟に建築を実現しています。さらに、地域と大学が協働するまちづくり活動は、長岡市表町で歯抜けになった雁木を手づくりする活動が14年、三条市で里山の緑を移植するポケットパークづくりが4年を経過しようとしています。ここでは、これまで自ら行っていた計画提案にとどまるまちづくりや期限のある環境形成としてのインスタレーションから離脱して、地域の人たちと学生とが自らの手で環境をつくっていく持続的で実践的なまちづくりを行っています。

目標:
  これまでの支部活動についての俯瞰的な認識をしっかり持ってはおりませんが、支部・支所活動を出来るだけ多くの会員に開いていくことを目指したいと直感的に思い至っています。ますます会員数が減少することが予測され、学会の法人化移行・建築会館の維持の問題が顕在化する中にあって、支部として福井・石川・富山・長野・新潟を繋ぐ本支部の活動が、各会員の、特に建築に向かう若い人たちの活動実現と深く結び合うことが私の支部長としての目標です。
 北陸支部では地域への貢献活動・会員相互の活発な活動が多くの方々のご努力で推進されています。これらを基盤として、さらに多くの会員の方たちが建築学会活動にいろいろなかたちで係わっていただけるようになる環境を実現することが、まず私のやることだと考えています。そのためには、建築学会に係わる情報伝達を開いたものとすること・学会活動へのオープンな参加機会の場を構築すること・支部運営に係わる意志決定は開かれた場で行われ、その意志決定内容を多くの会員が共有できること等を、皆様とご相談しながら、ひとつづつ進めていきたいと考えています。会員皆様から自由にご意見をお出しいただき、北陸支部の運営にご参加いただきますようお願いいたします。