日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!38号

北陸支部大会研究発表 若手優秀プレゼンテーション賞の受賞にあたって

発表題目:
「中越沖地震で被害を受けたカットオフ主筋を有する
 RC造柱の静加力実験」


吉沢 克司 
(新潟大学大学院自然科学研究科)



図1 対象柱


図2 試験体


図3 ひび割れ図


図4 荷重-部材角関係


  今回、「中越沖地震で被害を受けたカットオフ主筋を有するRC造柱の静加力実験」という題目で発表を行いました。

  本研究は、2007年新潟県中越沖地震で被害を受けたRC造学校建築において、その柱の崩壊形が耐震診断では曲げ降伏型であるにもかかわらず、実際にはせん断破壊している事例があり、その原因を当該柱の上下階の柱で必要な主筋の定着長さが当該柱に延長されている部分(定着延長筋)によるものと考え、その定着延長筋を模擬した柱試験体を作製し、静加力実験を行いました。その結果、ひび割れ形態は模擬することができましたが、変形能についてはあまり低下しませんでした。この実物と試験体の変形能の違いは、実際の柱には長さの異なる2種類の定着延長筋が混在していることと腰壁が設けられていることが要因と考えられ、これを踏まえた検討が必要です。

  発表に関して心がけたことは、図や文字をできるだけ大きくし、また、重要と考えているところは色を変えるようにしたことです。

  若手プレゼンテーション賞という名誉な賞に選考していただき、大変うれしく思います。発表が終わった直後は、緊張で満足のいく発表ができなかったため落ち込んでいたのですが、この賞を受賞できたことで自信がでてきました。この賞を励みに研究に取り組みたいと思います。最後に、指導をしてくださった先生に深く感謝致します。