日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!38号

北陸支部大会研究発表 若手優秀プレゼンテーション賞の受賞にあたって

発表題目:
「暮らしを住み継ぐ ―奥能登地域の活性化手法に関する研究」

板平 卓巳 
(石川工業高等専門学校環境建設工学専攻)



図1 現状分析とコンセプト


図2 集落全体の整備計画


図3 空き家のリノベーション
-立面図


図4 サイン計画イメージ


 今回の発表は、石川県輪島市一乗地区をケーススタディーとした、奥能登地域活性化の戦略とその手法について提案するものです。この地域は、世界農業遺産で脚光を浴びた千枚田からほど近い風光明媚な土地であるとともに、過疎高齢化が進行中の限界集落として、集落の維持・管理について深刻な問題を抱えています。

 本提案では問題解決へのアプローチとして、建築的な側面から「暮らしを住み継ぐ」という方針を示しました。これは、一乗の環境と独自のライフスタイル自体を観光の売りとすることで、遠方地の都市住民のための第二の故郷として、今後段階的に集落の維持・継承を行うシステムです(図1)。具体的には、地域の伝統食材を活かした地元料理の提供と長期民泊体験の企画、町並み整備指標の策定、及び指標に遵守した建築提案(空き家のリノベーション、町並みの景観を活かした整備・演出計画、集落の回遊性を高めるサイン計画等)のモデルケースを示しました(図2、図3、図4)。

 発表に関しては、内容にストーリーをもたせ、聴き手が理解しやすい構成とすることを常に心がけています。それに加え、何度も発表練習を繰り返し、より伝わりやすいよう訂正していくことで、話をすること自体になれ、本番の際に焦ることなくプレゼンテーションを行うことができるようになります。

 受賞にあたっては、素晴らしい評価を頂き、大変光栄なことと思っております。この機会を借りて、ご指導して頂いた先生、また調査に協力してくださった住民の方々に深く感謝いたします。この受賞を励みに、今後の研究活動に一層尽力していきたいと思います。