日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!39号

建築文化週間2011 開催報告 〜福井支所〜

「越前・若狭の建築探訪」(1)勝山の民家見学と講演会



吉田 純一 (福井工業大学)


写真1 旧木下家住宅


写真2 見学会風景


写真3 見学会風景


写真4 はたや記念館


写真5 講演会風景

日時:平成23年11月13日(日)9時30分〜16時30分
場所:見学会/旧木下家住宅(国重文、勝山市上野)*
    講演会/はたや記念館(「ゆめおーれ勝山」)(勝山市元町)**
参加者:見学会20名、講演会35名

 福井支所は、支所の活性化および会員の親睦を深めることを目的として、新たに「越前・若狭の建築文化探訪」をシリーズで開催することにした。 初回の今年度は、奥越勝山の民家をテーマとして見学会と講演会を開催した。 見学先は平成20年に国重要文化財指定を受けた旧木下家住宅で、講演会は福井工業大学吉田研究室が平成18年度から取り組んでいる勝山市北谷の小原集落の民家修復に関するものである。

 開催日の午前9時30分に旧木下家住宅に集合。当住宅の国指定に伴う建築調査を担当した福井工業大学吉田純一教授が説明を行った。 地元の方に囲炉裏で火を焚いていただき、煙が立ち込めた古民家特有の香りの中での見学・研修となった。

 講演会は、昼食をはさんで「はたや記念館、ゆめおーれ勝山」に会場を移して開催。 この施設は勝山市がまちづくりの核として旧木下機業場の建物をリノベーションしたものである。 同会場では小原ECOプロジェクトにおける福井工大建築学科の学生たちの活動パネル展も開かれていた。 講演会には会員のほかにプロジェクトに関わっている棟梁や地元の人たちの参加もあった。 まず吉田教授が「小原集落と民家」をテーマとして、6年間に及ぶ小原ECOプロジェクトの概要およびこれまで古民家修復に関わってきた学生たちの活動ぶりを紹介。 引き続いて、今夏作業に関わった学生たちが体験談や苦労話を発表した。 参加者からの質問や意見に対して学生たちは戸惑いながらも応え、講演会(発表会)はなごやかな雰囲気の中で進められた。


*旧木下家住宅:天保期に永平寺大工源左衛門によってつくられた越前U型の大規模民家。入母屋造、茅葺、妻入りの前方左右に水屋とウマヤを張り出している、両袖造と称される形態をもつ民家。
**「ゆめおーれ勝山」:旧木下機業場の玄関・事務棟と第1工場棟を織物ミュージアムとして再生した施設。玄関・事務棟は明治37年の操業時、第1工場棟は大正4年の建築。