日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!42号

建築文化週間2012 開催報告 〜石川支所〜

石川支所リノベーションツアー開催



宮下 智裕
(金沢工業大学環境・建築学部建築デザイン学科 准教授)



写真1 大野もろみ蔵で
水野先生の説明を受ける


写真2 金沢市学生のいえ


写真3 金沢工大
RDAプロジェクト

 北陸支部石川支所では、2012年11月4日(日)10:30〜17:00に建築文化週間の企画として石川県内に点在するリノベーションの先進事例を巡る建築ツアーを実施しました。石川県には各時代の様々な魅力的な建築が現存しています。その様な建築的な資産をどのように活用していくかは、建築物のみならず、今後まちづくりの観点においても非常に重要なポイントとなるはずです。近年、リノベーションにより新たな価値を創出し魅力的な空間として再生している建築がたくさん現れてきました。そこで金沢を中心として行われている様々な建築の再生事例について見学を行い、見識を広げると共にこれからの可能性を探る機会を提供する事を目的としました。

 まず、金沢市大野にある醤油蔵のリノベーションによるまちづくりの見学を行いました(写真1)。水野雅男氏の解説を聞きながら、地域住民の集まる場となっているもろみ蔵や、アトリエ、ギャラリー、店舗など様々なかたちにリノベーションされている蔵を巡りました。次に2012年10月に金沢市片町にオープンした金沢学生のまち市民交流館を訪れました(写真2)。この建物は市指定保存建造物の「旧佐野家住宅」を、学生のまちづくり活動の拠点、大学のゼミ、授業などの学習活動の場、金澤町家文化の発信拠点として利用するために改修されました。その後、金沢の中心市街地で多くのリノベーションを手がける小津誠一氏の案内で新竪町の八百屋や、店舗と賃貸アパートが入った鞍月舎などを見学し、これらの建物が金沢のまちに新たな刺激を与えている様子を体感して頂きました。同じく中心市街地では、金沢21世紀美術館 の企画である「アートプラットフォーム金沢」で、まちなかにアートを点在させるという狙いをもってリノベーションされたまちやゲストハウスやKAPOを見学しました。最後に野々市市にある金沢工大周辺学生アパートのリノベーションの事例を企画、設計した学生と住人の両者からコンセプトや住み心地などを聞きながら見学しました(写真3)。参加者は25名(内学会員5名)で県外からの参加もあり、見学中は活発な意見交換なども行われ大変有意義な建築ツアーになったと思います。