日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!43号

■学生シリーズ(福井)

博物館通り賑わい創出プロジェクト
〜町屋の改修をとおして〜


宮嶋 隼也
(福井工業大学大学院 社会システム学専攻)



写真1 協議会の様子


写真2 発表の様子


写真3 博物館通りの街並み



図1 町屋改修後の平面図 



図2 町屋改修後の外観パース

 昨年の10月から今年の2月の約5ヵ月間、私は敦賀市相生町で行なわれた博物館賑わい創出プロジェクトに参加し、景観策定委員として、町屋3棟の改修案とポケットパークの活用法を提案しました。今回は本プロジェクトの活動内容と、提案した町屋を紹介します。

 博物館通り賑わい創出プロジェクトは敦賀港周辺エリア事業の一つです。その中の本プロジェクトは「港の風が行きかう、歴史と緑がきらめくまち」をテーマに博物館通り活性化の方針に行政や住民、学生など一緒に参画し、街並みや商業の再生、景観の整備、イベントの創出を目的に活動しています。昨年の9月から今年の2月までに計4回協議会を行なった。協議会の構成メンバーは博物館通りに関わる人、敦賀市役所職員、その周辺の住民、学生である。協議会の内容は博物館通りで行われている「清明の朝市」をより良くする提案や活性化イベントの提案、市営住宅跡地の利用方法など、博物館通り内の賑わいを創出するための話し合いをしました。

 協議会を通して、印象に残っているのは本プロジェクトが立ち上がる前から博物館通りの活性化に取り組んでいる方々の話です。清明の朝市の復活や通りに花壇を設置し花を育てる運動、勉強会の積極的な参加など、これまでに博物館通りを盛り上げる為の活動についてご教授いただきました。活動を行なってきた方々は本プロジェクトの発足の遅さについて指摘されてはいましたが、この博物館通りのために大勢の方たちが一緒になって取り組むことについて喜んでいました。

 私は本プロジェクトにおいて、協議会の発言のほかに、実際に今年の10月に開業を目指して改修が決まっている通り沿い3棟の町屋の改修案と向かいにある市営住宅跡地を利用したポケットパークの活用法案を提案しました。

 3棟の町屋の改修案は、表側を通りと調和させるために建物の周辺町屋の意匠を取り入れた外観とし、内部は「店舗間がお互いを意識し合える」をコンセプトに正面のエントランスや店舗スペース間の交流スペースなどを設け、町屋3棟が一体となる商業施設を提案した。

 ポケットパークの活用法は、地域の交流やイベント時に使用するような場所とし、町屋や博物館通りとの繋がりを考え、通りの街並みに連続性をもたせ、通り全体の一体感が生まれる。

 この提案は、第3回協議会で第1案を発表し、参加者からの質問や意見を参考に第4回協議会で第2案を発表しました。

 博物館賑わい創出プロジェクトは、住民たちの通りを良くしようする熱い想いや今までの地道な活動による成果が根底にあると感じました。博物館通りを盛り上げよう、商業を再生させようという気持ちや活動がエネルギーとなり今回のプロジェクト発足に繋がったと思います。私が協議会に参加し、2回の発表の場をいただき貴重な経験ができたのも、博物館通りで活動を行っている方々のおかげです。ここに記して感謝申し上げます。

 今後はここで培った経験をもととして、博物館通りの街並み調査や新たな街並みの提案を通り全体で行ないさらなる博物館通りの活性化について考察していきます。