日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!43号

■いきいき街づくりシリーズ(富山)

滑川宿まちなみ保存と活用について

城戸 拓一
(NPO法人滑川宿まちなみ保存と活用の会 理事長)



写真1 端午の節句(人形)


写真2 端午の節句(こいのぼり)


写真3 春季祭礼獅子舞


写真4 旧酒井歯科医院


写真5 城戸家


写真6 廣野家


写真7 小沢家


写真8 菅田家


写真9 旧宮崎酒造

 富山県滑川市の旧北国街道宿場町には、古い町家が多く現存し、そのいくつかは、国登録有形文化財、あるいは市重要文化財に指定されています。富山県、特に呉東(県東部)では、富山市の戦災、戦後も魚津・水橋・生地等の大火で、多くの貴重な古町家が消失していまいましたが、残っているのが、この滑川宿の古町家です。江戸・明治・大正時代の建造物です。富山県でも、価値ある旧農家や旧庄屋は多く現存していますが、旧北国街道沿いのこれらの町家は、同様に、また、異なった趣のある貴重な財産です。

 しかしながら、当の滑川宿においても、近年の住民の高齢化や空き屋の増加、建物の老朽化など町の空洞化が顕著になっています。そこで、滑川宿を憂う有志たちで2010年5月に「滑川宿まちなみ保存と活用の会」をつくり、歴史的・伝統的都市景親を保存し、この地に伝えられた歴史文化を、地域の発展へとつなげていく活動に取り組んできました。

 その後、2013年4月には、先の組織をより充実させ、社会の認知度と信用の拡大化のため、会をNPO法人にして再スタートしました。(この法人は、地域住民等に対して、旧滑川宿を中心とした歴史的建築物の保存と活用に関する事業を行い、地域の発展に寄与することを目的としています。)

 本NPOでは、地域発展については、活用の事業化を新たに加え、滑川宿はいうにおよばず広域まで対象とした地域文化の拠点としてコミユニテイを育んでいくものとしています。具体的には、地域の祭りや交流に加え地域関係者による講演会や文化活動(音楽会・絵画展示会など)といった、地元文化に関する事業や生活関連の事業を実施しています。もちろん、滑川宿の建造物がその活用の場となっています。

 滑川宿を形成する主な建造物は次の通りです。旧宮崎酒造主屋、城戸家住宅(旧神田屋商店(じんでんや)、廣野家住宅(旧廣野医院)、小沢家住宅、(旧小沢呉服店マンマ)、菅田家住宅(旧恋塚屋)、養照寺(旧仮本陣・本陣所在地)

 会のメンバーは、滑川宿の古い町家の所有者、修理保存を担当した建築家、監修指導担当の大学教授、地元の市民の方々、運営に興味がある方々です。構成役員は、みなさん60才を超えた人々、優秀な頭脳の持ち主ですが、「首から下」が動きづらい人ばかり、若い実務担当の必要性を感じています。

 事業資金面では県や市からの補助金助成金をいただいて運営していますが、これは永続的でないので、自主財源の確保に今検討中です。また、後に続く若い方々の育成にも力を入れながら、多くの方々の応援をいただきたく感じています。

 最後になりましたが、最近の活動を紹介します。この5月には、端午の節句(鯉のぼりと武者人形)、NPO設立記念落語会、地元の神社(雪嶋神社)の春祭り神輿巡行と獅子舞の鑑賞会を実施いたしました。この後も、絵画展・琵琶演奏会・各種講演会・ひなまつりなどを主催していきます。また、外部のみなさまによる諸行事にご利用いただきます。また、滑川宿(の一部)建造物の一般公開および一般開放も考えています。みなさまにおかれましては。是非、ご遠慮なく下記に連絡の上、ご利用ねがいます。


■連絡先 NPO法人滑川宿まちなみ保存と活用の会
      〒936-0063滑川市瀬羽町1862
      TEL:076-475-0015
      E-mail:tayu.yoshu-3to1@palette.plala.or.jp
          又は takuichikido@gmail.com
      URL:http://www1.ocn.ne.jp/~buna/nameri.html