日本建築学会北陸支部広報誌 Ah!46号

■建築の現場シリーズ(長野)

生まれ変わる長野駅善光寺口

遠山 健幸
(長野市都市整備部都市計画課)



写真1
現在の長野駅善光寺口駅前広場の様子
(平成26年1月現在)



図1 長野駅善光寺口駅前広場の
整備イメージ



図2 大庇・列柱の整備イメージ


写真2 ワークショップの様子


写真3 市産木材見学ツアーの様子


 長野駅善光寺口は、平成9年の長野新幹線開業や翌年の長野オリンピック開催に合わせ、駅の橋上化や東西自由通路など最小限必要な施設の整備が行われ、駅前広場については時間的な制約もあって暫定的な整備にとどまっていました。このため、北陸新幹線が金沢に延伸される平成27年春までに、駅前広場における交通機能の充実と利便性の向上を図るとともに、長野の玄関口にふさわしい新たな顔づくりを行うため、本格整備に着手しました。デザインコンセプトには、長野の歴史・伝統と自然を活かした、長野らしい「おもてなしの心」を駅前広場で表現することを掲げ、歩行者専用デッキや地下通路、エレベーター、エスカレーターなどの整備を進めています。また、この駅前広場の整備にあわせ、JRでも駅ビルの建設を進めています。(写真1、図1)

 駅前広場の整備の中で最も特徴的なのは、駅ビルの前面に駅ビルと一体で建設する大庇とこれを支える12本の列柱です(図2)。主要構造は鉄骨造で、高さ約18m、奥行き約15m、幅約140mの大きな建造物になります。大庇は、ガラス屋根の下に杉材を使用したルーバーを並べます。また、大庇を支える列柱は、約90cm角の大きさで、大庇のルーバーと同じように杉材で化粧を行います。使用する杉材は、全て長野市内の山林から伐り出されたもので、その本数は約1万2千本にもなります。この大庇・列柱は、来訪者をお迎えする門の役割を果たすとともに、その大きな空間に装飾を行うことで、イベント時の演出装置としても活用したいと考えています。

 駅前広場の整備にあわせ、市民や市民団体、地元商店会、学校、行政など様々な個人や団体が連携し、市民が主体となった駅前広場の利活用促進を図るため「長野駅善光寺口利活用ネットワーク(利活ネット)」が昨年8月に設立されました。これまでに利活ネットでは、ワークショップでの検討(写真2)をもとに、市に対して駅前広場の利活用に関する提言を行いました。また、駅前広場の整備や利活用に関して市民に関心を持ってもらうため、大庇・列柱に使用する杉材の伐採現場などを見学する「市産木材見学ツアー」(写真3)や、駅前広場の工事囲いを利用して市民等のアート作品を展示する「工事囲いアート展」などのイベントを開催するなど、精力的に活動しています。

 北陸新幹線が金沢まで延伸される平成27年春は、7年に1度開催される善光寺御開帳の年でもあります。全国からお越しになる皆様を長野らしい「おもてなしの心」でお迎えし、長野の魅力を全国に発信できるよう、市民と行政が一体となって取り組みを進めています。

 生まれ変わる長野駅善光寺口にご期待ください。