1999年度北陸建築文化賞受賞(作品)03

 八海山 泉計画

 アトリエCOSMOS 白鳥健二

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〈概要〉有機的建築(オーガニックアーキテクチュア)を提案する。
 新潟県南魚沼郡六日町は、越後三山の一座霊峰八海山の御膝元。 この山の頂きに源を発した雪解け水は長い年月を経て麓の扇状地を伏流し、下流のここ泉地区で一気に湧水する。ビール生産工場及びその関連機能を持つ施設は、清水が湧き上がるここ泉地区にある。泉を中心に描かれたリング状のコリドール(円形渡り廊下)に二つの建築が連結されている。南側の棟(レストラン、店舗)はリングと同心円状に、北側の棟(ビール醸造及び会議ホール)は放射線状に配置され、これ等二つの棟は泉を隔てて互いに対峙している。同心円状のなめらかな棟は女性的、そしてこれに貫入しようとしている一直線の棟は男性的。二つの建築が、それぞれ正反対の要素を持ち、如何に生命力を有するオーガニック(有機的)な存在たり得るかを意図しててここに提案するものです。


〈自薦理由〉有機的構造(オーガニックストラクチュア)を木造大断面集成材で実現する。
 オーガニックな建築はオーガニックなストラクチュアによって実現が可能だ。人体を形成する骨格形態と、有機的建築物を形成する木構造は同じだ。建築は物理的(フィジカル)にも、精神的(メタフィジカル)にも命を持った存在だ。このことは、これからの最も重要なテーマのひとつです。
本建築のテーマは、建築をひとつの生命体ととらえようとするものだ。次世代の本質的な問題に重要な関わりを持つ作品として特に推薦するものです。