2009年度北陸建築文化賞受賞(作品)


平山電気商会本社ビル


建築主    株式会社 平山電気商会
意匠設計  佐藤宏尚デザイン事務所
意匠設計  樫原徹建築設計事務所
構造設計  ロウファットストラクチャー
施工     福田組
<選評>
村上市にはまだ多くの平入りの町家が点在している。この事務所建築は、そのような町家が残り、細長い短冊状の敷地が連担する街区群の中にある。 隣家が接する間口3間奥行き60mの敷地の中で、この建物も伝統的な通り庭という町家の手法を用いているが、坪庭から各室に光や風を取り込む町家の流儀ではなく、通り庭の上部に連続して設けられたトップライトから、吹き抜けを介して柔らかなバウンド光を各室に取り入れている。 緩やかな曲線で仕切られた内部空間のガラスの間仕切りは、細長い通り庭に大小の空間を生み出し、1・2階に斜めに少しずつウェーブさせた壁による空間処理は、室と吹き抜けの空間を見事に一体化させており、自然光の活用と重力換気の仕組みによる省エネ効果を実現している。 地場産杉を張り彩色した箱型のファサードもまた地域の町家に溶け込んで、町家の空間処理・まち並みへの配慮として新たな提案を行った秀逸な作品である。