2009年度北陸建築文化賞受賞(作品)


西駒郷 「さくら寮」



建築主        長野県知事 村井仁
設計・監理     (株)アーキディアック 児野 登
構造設計・監理  遠山則孝
施工         (株)岡谷組 野口行敏
<選評>
「さくら寮」は駒ヶ根市の西駒郷に位置する知的障害者更生施設である。長野県の施策に則りまとめられた西駒郷基本構想に基づき、ノーマライゼーション理念のもと「知的障害者が地域での普通の暮らしをすること」を目指して計画された施設である。 こうした狙いは建物の随所に概観できる。60の個室が10ずつ6つのユニットに分けられ、それぞれが玄関、広間、水回りを持ち、生活力を育む建築構成となっている。小舎の連なりという構成は外観にも表れている。それぞれの棟は緩やかな勾配屋根をもち景観的に地域の風景に自然に馴染んでいる。 地産地消を目指し、県産材のからまつを、構造的には集成材で、仕上げにおいては内外壁に小幅板として使用している。また環境的には、間伐材から作られたペレットボイラー、太陽光発電、雨水利用の散水設備、真空貯塔式ソーラーシステム等数々の試みが行われている。 地域の風土や生活にソフト・ハードとも密着しながらよく考えられた施設であり、本賞に値する建築として評価した。