2012年度北陸建築文化賞受賞(作品)


金沢菓子木型美術館・森八本店



建築主 叶X八
設計・監理 水野一郎+金沢計画研究所
施工(建築) 樺|中工務店
施工(機械設備) ダイダン
施工(電気設備) 第一電機工業
<選評>
江戸初期の創業と伝える金沢市内の老舗菓子店の新店舗である。落ち着いた伝統的家屋が残る兼六園近くに敷地を選び、東は国道に面している。伝統的な構法・空間でデザインされた店舗・茶房、菓子木型のギャラリー、住居から成る平入りの鉄骨造切妻造桟瓦葺3階建である。道路から見ると、2階屋根との連続性を保ちながら3階の屋根を設け、外壁は竪格子と土壁との構成を採用し、周囲との景観に配慮した外観を見せる。内部は木の柱・梁を表した格子を基調としたデザインによって伝統的木造家屋の空間を表現し、落ち着いた中にも格調を加味した構成を見せる。菓子の伝統に欠かせない茶室も設けられ、また、長年伝えられてきた千点以上の様々な菓子木型や渋紙・焼印を展示することで、和菓子も日本の伝統的な文化であることを伝えている。金沢の伝統文化を継承するための空間として評価でき、木型の彫り職人の技術と桜材の木肌の美しさを伝えようとした施主の姿勢にも賛辞を贈りたい。