2013年度北陸建築文化賞受賞(作品)


登録有形文化財 伊藤家住宅



建築主 伊藤恭裕
調査・設計・監理
    一級建築士事務所 アトリエ縁 清水徹
<選評>
平成17年に同じ敷地内にある三階土蔵などとあわせて国登録有形文化財に登録された伊藤家住宅の改修計画である。新潟県五泉市羽下に建つ歴史的庄屋建築の価値を下げる事なく現代の住まい方を取込む改修を行う事で、この地域の建築文化の継承・保全を実現しており賞に相応しいと評価できる。この作品実現の為の大きなテーマに文化財保護法と建築基準法の二つの基準をクリアすることがある。基本的には現在の住まい方の中でも既存の空間序列を利用する事など建築保存を考えた計画がなされている。一方、新しい住まい方に対応するのに相当の設計の自由度がほしい北側の棟は、割り切って構造を切り離すことで建主の要望などを取り入れた新しい空間をつくっている。この住宅の中心であり既存の空間をそのまま残した大きな吹き抜けのある居間と新たにつくられた空間のつながりは個性的であり、文化財住宅の継承の仕方の一つの手法を示したと言える。