2014年度北陸建築文化賞受賞(作品) |
<選評> 広く前庭をとり、立派な妻面をこちらに向けた農家らしい家々がならぶ通りを曲がったところ、区画整理でできた宅地とあわせて計画された小公園が本作品の敷地である。建物はデッキを仲立ちとすることで公園との連続性が高く、気分的にも寸法的にも敷居がきわめて低い。内部はほぼ一続きだが、三角の空間や天井の形状によって変化のある領域感を内包しているため、人数に応じた柔軟な使い方が想像できる。排他性を排除し、構成メンバーの内と外とをなるべく区別しないことが、形成途上のコミュニティにとって有効であるとすれば、本作品は丁寧にその要求に応じているといえる。北陸の地域性や建築文化という点からいえば、天井ルーバーが言及対象となり得るが、制度的に評価された歴史を参照しているから是ということではなく、古い家と新しい家が連携して新しい地域をなし、これからの文化をはぐくむ、その拠点としての期待が大きい建築であることを評価したい。 |
©Tomoki Hahakura ©Tomoki Hahakura |