第5回 28℃オフィス環境WG 議事録



日時:平成19年3月5日(月)18:00〜20:00

場所:日本建築学会 建築会館会議室304号室

参加者
  田辺新一(主査・早大)、岩下剛(幹事・武工大)、秋元孝之(関学大)、都築和代(産総研)、
  中野淳太(東海大)、淺井万里成(日本設計)、佐藤孝広(久米設計)、堤仁美(早大)、
  羽田正沖(早大院)  (敬称略、順不同)

オブザーバー
  川村明寛(記録・早大院)、久保木真俊(早大院)、鈴木宏昌(早大院)  (敬称略、順不同)

欠席者
  栃原裕(九大)、宮本征一(摂南大)、佐古井智紀(産総研)、
  小林弘造(日建設計)、西原直枝(早大)、植木雅典(早大院) (敬称略、順不同)

資料
 (資料5-1) 第5回28℃オフィス環境WG 議事次第
 (資料5-2) 第4回28℃オフィス環境WG 議事録(案)


議事内容
1. 資料説明および討議内容
@第4回28℃オフィス環境WG議事録(案)の確認
  資料5-2をもとに第4回の議事内容を確認し、議事録は承認された。

A研究活動紹介・報告
  久保木オブザーバーより、「持続的活用に向けた自然換気システムに関する研究」と題して、 72の物件について設計者・管理者・利用者を対象として行った自然換気に関するアンケート調査の報告があった。 自然換気システムの導入理由としては省エネ効果への期待が大きな割合を占めるが、 利用時間は年々減る傾向にあることが紹介された。 手動制御の場合は換気口開閉の手間がかかる、 自動制御の場合は気密性が保てないことによってVAVに悪影響を及ぼす等の課題が挙げられた。 花粉・虫の室内への流入や交通騒音など、対処が難しい問題も挙げられた。 また田辺研究室の試算では、一般的なオフィスビルでの自動制御式自然換気システムの導入の投資回収は19.2年となった。
  議論の中で、自社ビルでない場合、 少しでも利用者から苦情が来ると運用停止となる傾向があるとの意見が出された。 背景として、設計時に運用側が加わる機会がないこと、 クレームの少ない会社が良い管理会社と評価されることなどが挙げられた。 自然換気の省エネ効果を管理者に説明することで運用に転じた事例も紹介され、 設計者と管理者が連携して運用に関わる必要性が指摘された。 均一な環境を好む傾向にあるオフィスへの導入は難しいなど、 建物用途や立地、利用者の属性などから、自然換気を導入するのに適した建築の条件が整理されると、 自然換気の普及の推進力になりうるとの意見が出された。

  川村オブザーバーより、 「脳内酸素代謝量と指尖脈波に基づく知的生産性の客観的評価」と題して、 2006年9月に行った被験者実験の結果報告があった。 28.5℃条件で自覚症状しらべのI群(ねむけやだるさ)の申告率が上昇し、 指尖脈波のTPM averageが下がったことから、28.5℃条件において覚醒度が低下した可能性が考察された。 また、過去の実験における自覚症状しらべI群の申告率と作業効率には負の相関が見られた。
  覚醒度が作業効率に影響を及ぼすことを示すには、 疲労が一定の時に覚醒度と作業効率の関係を調べる必要があるとの意見があった。 覚醒度の測定法として、内田クレペリンの波形を分析する方法やMSLTを用いる方法が紹介された。 また、暑い環境では、いらいら感が脳の処理能力の一部を侵食して 作業効率が落ちるといったメカニズムは考えられないかとの意見があった。 脳における情報処理の方法について、専門家を呼んで話を聴くことも検討することも議論された。 「疲労感を自覚していない疲労」には注意すべきであるなどの意見が出された。

2. 次回開催予定
日時:平成19年5月30日(水)18:00〜20:00
場所:芝浦工業大学 豊洲キャンパス
議題予定:佐藤委員よりオフィス事例紹介


印刷用(PDF 約138KB)
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