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MessageType: 提案
Username: 佐藤 敦
UserAff: 九州大学 建築学科 1te99029s
UserEmail: te199029@cse.ec.kyusyu-u.ac.jp
日付: 99/07/21
時刻: 17:07:42
リモート名: 133.5.13.108
建物を評価する場合、建設、運用、維持、保全、解体に至る各段階で、エネルギーの消費量、環境に 影響を与えるガスの排出量、廃棄物量や室内環境等の環境面に関する評価も重要視されていますが、 環境に対する建物の評価といいますと、「環境影響評価(通称 環境アセスメント)」が思い浮かびます。 これは大きな開発事業などが、自分の家の周りで行われ、関係地域住民となったときに初めて関わる 傾向が強く、このような事業は一生に一度あるかどうかのものなので、市民の関心も知識も少ないのが 現状ではないかと思われます。 しかし、今回は、住宅に対する性能評価についてであり、家の購入など、市民生活にも大きく関わって きます。評価において、重要なことは、学術的知見にもとずいているか、中立的な立場による評価か、専 門家だけでなく市民にも十分理解しやすいかどうかだと思います。 環境アセスメントの場合においては,「環境アセスメントは、開発が環境に及ぼす影響を最小にするた めの配慮であるにもかかわらず、結果として「影響なし」の証明をする手続きになっている。」や「事業者が 自分でつくるので、答えははじめから決まったようなもので信用できない。」など評判は良いとはいえませ ん。 では、住宅の性能表示の場合どうやって信頼を得て、市民生活の中に溶け込ませればよいのでしょうか。 この性能表示では、技術的、学術的な面では、評価基準を設けるにあたって、何度もの議論が必要かもし れませんが、一度基準ができるとその表示はうまくいくと思いますし、市民の専門家への技術、学術的な 面での信頼は十分あると思います。ここで問題のが、利害が絡むことにより、過大、過小評価が起こり、 正確性に欠かないかという点です。 今回では性能表示を民間企業に委託するかどうかもお話にあがると考えられますが、これは民間に この仕事を任せるべきだと思います。第三者による中立的な立場からの評価によって市民の信頼を得る ことができると思いますし、環境アセスメントの場合とは異なり、大きな建築物ではなく、住宅の評価です から、仕事としてもたくさんあり、ビジネスとしても成り立つと思います。もし、大手企業の参入があると、 2・3年の実験的な段階を終え、企業同士の価格競争、性能表示の正確性、信頼性の競争によって、将来は 家の性能に市民が関心を持つことが当たり前となると思います。 今現在、私の親を含め、自分の家を持てる年代のかたは、今にも崩れてしまいそうながけに家を建てたり しますし、床下などの見えないところで、柱が短いといって、石をおいて補っている欠陥住宅に平気で生活 します。私は、阪神・淡路大震災に被災しましたが、家が田んぼの埋め立て地後に建てられたものだった ので、地盤はゆるく、ゆれは相当なものでした。 家とは私たちの生活を支えるものであるにもかかわらず、この関心の無さですから、専門家は市民に、家 の安全性、地域環境に与える影響の重要性を訴え日常生活における表かのみならず、震災のような極端な 場合が起こったときの性能も表示する必要があると思います。
引用・参考文献 島津康男 「市民からの環境アセスメント」