意見公募

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環境性能を考える前に

MessageType: その他
Username: 高原 良子
UserAff: 九州大学工学部建築学科
UserEmail:te199033@cse.ec.kyushu-u.ac.jp
日付: 99/07/28
時刻: 12:49:55
リモート名: 133.5.13.157

Comment

私がこれからの住宅に必要だと考える性能は、人間の生活がより豊かになることだけを求めたものではなく その住宅を取り巻く自然環境への影響を可能な限り考慮に入れたものです。 ただ単純に快適な暮らしを追い 求めるのであれば、構造や採光、喚起、遮音などの性能を高めるため壁や床の素材を新しく開発したらいいわ けで、その際どれだけ良くその役割を果たすかにさえ気を配ればいいけれど、 今の環境問題が必要以上に豊 かで便利な生活を求めてきた結果であるということを考えるとそれではいけないと思います。 もちろん、基本的 な性能の向上を目指すことは大切だと思います。 現に高齢化社会が進んでいるなかで、バリアフリーという考 え方はなくてはならないものになってきているし、 生活様式の変化に伴い日本の気候にあった日本独特の住 宅が消えつつあるため、 通気や換気システム、 断熱や気密性へのより一層の配慮とそのための新素材の開 発が必要とされています。でも、 建築学会がその確立を目指している『アカデミック・スタンダード』が、 どういう 意味での望ましい基準なのかまだ良くつかめていないので偉そうなことは言えませんが、 豊かな暮らしを送る のに必ずしも最低レベル以上の基準が必要だとは思えないのです。それよりもまずレベルを上げなければなら ないのは、暮らしの主体である私たちの意識だと考えるからです。 意識の向上があってはじめて望ましい基準 の価値があると思います。 その基準に見合うだけの意識を持つことは簡単にできることではないけれど、まず は人間が手を加えるのを最小限にし個人個人が考え方を変えてこれまでの生活を見直すことからはじめれば、 自然と本当に必要な性能とそうでないものの区別がつき正しい選択ができるようになって、アカデミック・スタン ダードを考える意味がわかると思うのです。


最終更新日: 2000/07/21