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MessageType: 意見
Username: 峯松 徹
UserAff: 九州大学工学部建築学科
UserEmail: minematu@mx2.nisiq.net
日付: 99/08/10
時刻: 23:21:04
リモート名: 163.139.123.25
建築科レポート (渡辺 俊行教授) 1TE99055G 峯松 徹 これからの建築について
いままでの建築は、「建築基準法に従っていれば、安全」ということになっていて、地震があって被害がでれば、 「それは天災だ」というようにして、あきらめさせられていた。 しかし、人が建築をつくったから被害がでたのに、それを天災などといって良いのだろうか。地震災害は、明ら かに人災です。わたしたちが、便利さを追求する一方で、危険を生みだしていたわけです。ジャンボジェットが何 かの原因で墜落したとき、たとえ乱気流が原因であったとしても、人はそれを天災とは言いません。 「施行がもう少しちゃんとしていれば」「設計者がもっとしっかりとつっくておいてくれれば」「もう少しお金をかけて いれば」壊れないための方策は、いろいろあったはずである。しかし、世の中に定められたルールのもとになされ ていたとき、それで「誰の責任か」と言うわけにはなかなかいきません。 責任を、考えるとき、地震というような大自然の営みを、相手に、建築が絶対に壊れないということがありえな いということの確認から考える必要があります。とはいってみても、相対的により安全にする技術はもっているの だから、要は、どのくらい安全にするのが適切かということです。 だれでも、「これで大丈夫」と、権威ある人に言ってもらいたいものである。今まではそれを建築基準法に委ねて きました。法律にしてみれば、いい迷惑なのかもしれない。建築を建てて、所有している以上は、やはり、所有者 が第一に責任を負う立場にあります。と言っても、損失も自分が被るのであれば、責任を負うもなにもないのだけ れども、住んでいる人,使っている人が所有者と異なっているときに,住んでいる人,使っている人が、建物倒壊 によってけがをしたり、死亡したりすることについては,その責任は極めて重大である。 しかし、一般に、所有者は耐震工学の知識など持っていないのだから、どのくらい安全かの判断もしようがない。 そこで構造エンジニアの働きが重要になってくる。 エンジニアが、その土地で、どの程度の地震がどのくらいの確率で発生しそうであるか、そして、そのとき建物 はどのようになるか十分に説明を行い、所有者は、それを理解した上で、安全のためにどこまで費用をかけるか 判断すべきであると思う。 私たちが、現代のこの危険の多い世界に生活をしていて、せめて建築物の中では、地震国にいても安全であり たい、安心していたいと思う。そして現実に、過激なスポーツをしていたり、車や飛行機の中にいるよりははるか に安全ではあるが、どの程度の安全にするかについては、人任せでなく、自分たちで考えて判断する努力が必 要だと思います。権威ある人から、「絶対大丈夫」といってほしい、そのかわり責任をとって下さい。という時代で はないように思える。