記録担当 玉井 洋
計画設計情報小委員会勉強会(第1回)
日 時 2001年6月13日 木曜日 16:00〜
場 所 本会会議室
講師:堀内幹夫 氏(中央工学校講師、設計の情報化小委員会、元久米設計・意匠設計)
参考HP http://homepage2.nifty.com/goroukou
1985年頃からパソコンをはじめた。その前は純粋に設計を行ってきた。
設計者から見たコンピュータという目で情報化を見てきた。
今や情報化に特化した小委員会は必要はないのではという感があるが、現実はそうもいかないようだ。
93年にJIAでCADデータ交換のためのガイドラインをまとめた。
設計図書に著作権があるということに気がついた。設計の情報化小委員会で現在それをリメイクしている。
設備業者からは大きな抵抗を受けている。設備業者はデータだけの納品ではだめで、プログラムを納品することになるが、ノウハウが漏れてしまうので、著作権だけではカバーできない。何らかの知的財産権を定義しなければならない。(->「データ受け渡しに関わる問題」参照
CALS/ECの波を整理してみた。「ご老公編纂による関連図」(参考:HP)
これを整理してみてヒアリングをすると全体の中での位置づけを認識している方はなかなかおらず、自分の部門のところについて深く検討しているのが現状。建設部材コードを検討するだけで6つの委員会が存在している。委員は半分がラップしている。全体を整理してようやく関連がわかるようになった。
広く情報化に関する情報を整理している(pdfファイルにて解説書を作っている 参考:HP)
CADデータを仮設計画のためにゼネコンに渡したが、データは300MBあったが、コンピュータ関連部署はFD300枚だという評価だが、CADデータとしては中にノウハウが入っている。そのノウハウを評価する基準がない。
データの同一ソフトでの上位互換性について。
ソフト業界では2バージョン程度変わると大きく変わってしまう。建設の仕事は10年20年であるため、一つの建物を考えると計画から建物の維持管理に至るまでカバーできない。
旧通産省のモスラというプロジェクトが検討をしているようだが、建設の業界にはない。CALS/ECが維持管理までカバーするというならばデータの継続性を実現しなければならない。
GISデータについて
設計者にとって便利なGISデータとはなんだろう。
現在のGISデータは管理のためのデータ整理が主であり、建築での利用(応用)には適していない。
GISは地図屋さんがベースであるため、誤差ではなく縮尺で話をしている。つまりはメートル単位の誤差を含んでいる。
CADデータを「データで渡す」ことのメリットも大きい。CADは作図の道具でもあると共に、伝達の道具としてもとらえられる。設計者にとって両方を必要とする。
広く浅くまとめていき、問題点もあるし、その問題点はここで検討しているということを整理してあげることが重要である。
設計との関わり合いの中で、判りやすくまとめていくこと、知りたいことを生々しく伝えていくことも必要だろう。
情報のマニュアルは1〜2年で終わってしまう。
標準図(ディテール等)の情報化は設計の方法によっては効果的。設計者は「情報加工業」であろう。
施主から見れば「ありよう」も「やりよう」も頼んでいるのに、大手設計事務所、ゼネコン設計部では「ありよう」を、施工会社では「やりよう」というのが現状であり、施工図レス設計(小さな事務所では精度の高い図面を作成する必要がある)ができるようになれば、流れが大きく変わるのではないか。
設計からくる情報で判りやすいのは、どの程度確定しているのか判るように渡せれば施工側はそれに併せて施工計画ができる。
設計の精度と品質とがうまくリンクしていない。ISOではそれを定義しているわけではないので、品質が保証されているとはいえない。
費用、責任、に縛られた設計者の常識は顧客から見た常識とはずいぶん異なるようで、客観的に見ると顧客の常識が世の中の常識ではないだろうか。
「情報」という言葉の解釈は時間軸によって解釈が変わってくる。いろんな意味を持っており一元的な解釈は大変難しい。昔は「アンテナ」をはって探すことが重要だったが、「役立つ情報を絞る」というのは「情報に対するチューナーを持つこと」ではないだろうか。
「情報」の「選別能力」を設計者が持つことが重要。
生データは伝えることは簡単だが必ずしもそれは実像を指していない。いくつかのフィルターを重ねることによって実像が見えてくることが多い。
設計者へ変革を認識させるためには、建主の意識を変えることが重要なポイントで、それによって設計者の意識も変わらざるを得なくなるのではないか。