日本におけるオープンビルディングの歴史(暫定版)*注1
これまで我が国では、スケルトン住宅*注2に関連する研究開発や提案、実験的試みが数多く行われ
てきました。これらは時代背景や発送の違いなどから、スケルトン住宅へ捉え方が異なっています。
ここでは、現在のスケルトン住宅の考え方につながるこれまでの研究開発の歴史を大きく3つに分けて紹介することにします。最初は、戦後間もない頃に建て
られた先駆的な発想を持った集合住宅、2つめは建築技術の開発を通してスケルトン住宅の技術開発につながる流れ、3つめは住宅の供給・計画方法に新たな発想を
持ち込み、設計などの分離の考えを導き出す流れです。
I. スケルトン住宅の先駆的な開発・提案
戦後の比較的初期に建てられた集合住宅の中には、欧米の建築思想を取り込み、斬新な発想を持ったものがみられます。これらの発想は現在のスケルトン住宅
の思想にも相通じるものがあります。我が国のスケルトン住宅開発の歴史は既にこの頃から始まっていたといえるでしょう。
Keywords:不変と可変,メジャーストラクチャー,人工土地
II. 建物の技術開発からのアプローチ
大量の住宅を安価に建設すること、住宅の生産の合理化を念頭に置き、部材の部品化・工業化、規格の標準化を行ってきました。住宅の量的不足が解消された
1960年代後半からは、住宅の多様化を実現するという目的を持った技術開発が行われてきています。
Keywords:量産化,工業化,規格化,商品化,多様化,更新性
III. 住宅供給方式の開発からのアプローチ
まちの中に建てられる集合住宅の生活社会基盤としての性格や持家・借家、公共住宅・民間住宅といった住宅の所有関係や今日旧方式の不合理な点を解決する
ことを念頭に置き、意志決定や所有関係の再整理など、新しい住宅の供給形態、所有形態を考え、提案してきています。
Keywords:持家,借家,公共住宅,民間住宅,社会性,個別性,利用権
日本におけるオープンビルディング開発の歴史年表(クリックで拡大します)
注1:本頁に掲載した文章及び図版は、「スケルトン住宅って何?」(建設省(現 国土交通省)パンフレット,1999)より転載させていただいたものです。
注2:オープンビルディングの考え方が適用された住宅のこと。本小委員会注。
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