フォーブルグ(Voorburg)の団地再生

 ロッテルダム近郊にあるフォーブルグは、オープンビルディングの研究機関SAR(建築研究所)の発祥地である。 オランダにおけるオープンビルディング研究の本拠地だけあって、模範的団地改修が行われている。

 ロッテルダム近郊に数多くの集合住宅を保有する民間大手住宅協会が、階段室型5階建て、 108戸からなるフォーブルグ団地を所有している。 入居者を全員、一旦転居させて行うこれまでの全面改修の方法ではなく、空き部屋が生じて次の入居者が入るまでの間に、 あるいは改修を希望する住戸毎に、一戸単位で改修をする方法が取られている。 また団地再生にあたっては、住戸内部の改装だけでなく敷地全体の機能を向上させることが重要であることが認識されている。 そのため、2階建てのタウンハウスを既存の住棟に増築して、中庭は住棟によって囲まれた雰囲気を持つ、 安全でプライバシーのある空間に変更された。

 
写真1 改修前の外観
写真2 工事中の様子 写真3 改修後の外観

 建物の機能を向上するため、エレベータを設置し、共用階段、設備は新しいものに更新した。 各住戸はバルコニーを拡張している。1階の道路沿いにあったトランクルームは高齢者用、身障者用住宅に模様替えした。 給排水、ガスの配管用ダクトを新たに外部に設置している。
 新しい入居者は、空室の取り壊し工事に必要な2週間の間に、建築家と設備や内装の打ち合わせを行う。 内装、設備工事にはマツーラ・システムを採用しており、工事は10日ほどで完了する。 つまり前の居住者が出て行ってから約1ヶ月で、新しい居住者は模様替えされた住戸に入居することができる。 工事費は所有者である住宅協会が支出、一部、補助金も活用されている。 家賃を多く支払えば、標準仕様以上のグレードに改修することも可能である。 フォーブルグ団地の改修はオープンビルディングの言う、街区レベル、住棟レベル、住戸レベルの、 3つのレベルの問題点を抽出し、それにきめ細かく対応し再生している。

図1 改修前の住戸プラン 図2 改修後の住戸プラン
写真3 マツーラ・システム
配線スペースとなる幅木を設置した状況
写真4 マツーラ・システム
配管配線用床システムを設置した状況

(文責:南 一誠)


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