高蔵寺ニュータウンの見学報告
垣野義典/豊橋科学技術大学,田中康裕/清水建設
日時:2012年9月12日(水) 11:30〜16:30
講師:曽田忠宏先生(NPO法人・高蔵寺ニュータウン再生市民会議(高蔵寺どんぐり’s))
参加者:委員8名、委員外2名、計10名

■視察の目的
 成熟期を迎えている高蔵寺ニュータウンの現状と課題について、関係者に対する
 ヒアリングと現地視察を行い、環境行動研究的視点からの課題の発掘を目的とする

■当日のタイムスケジュール
 11:30~/見学会開始。
  センター地区のアピタ南館
  地下1階のNPO法人・あっとわん
  3階の春日井市東部ほっとステーション 
  →中央のデッキをつたいながら、UR中央台団地211棟の10階より眺望
 12:30頃~/高森台の住区サービスセンター(住区サービス施設)の空き店舗を活用して
  運営されている「ゆずりは」のカフェ・レストランで昼食。
  昼食の後、「ゆずりは」のオフィス、作業所を見学
 13:30~/東部市民センターで曽田先生の説明
 14:25頃~/サンマルシェ循環バスの藤山台ルート(西部循環)に乗り、
  高森台、藤山台、岩成台をまわる
 14:40頃~/サンマルシェ循環バスの石尾台ルート(東部循環)に乗り、
  高森台、石尾台、押沢台をまわる。
 15:10頃~/メゾン中央台 → 「神戸珈琲倶楽部・高蔵寺店」へ。
  曽田先生と意見交換
 16:15頃/「神戸珈琲倶楽部・高蔵寺店」の前で曽田先生と別れる。

■高蔵寺ニュータウン概要
 ・日本で2番目に古いニュータウン(1968年 入居開始)  
 ・高山英華先生、津端修一先生(阿佐ヶ谷住宅、赤羽団地)
  をリーダーとして計画を展開
 ・1966年整備開始。
  現在、ピーク時の5万2千人から減少傾向にあり4万6千人。 
  高齢化がすすむ(18.8%)。
 ・サンマルシェ(ショッピングセンター)周辺がニュータウンの
  中核施設群「センター地区」となっている。
 ・名古屋駅から電車で30分という立地のため、名古屋市への通勤者が多い。
 ・春日井市はひょうたん型の形をしており西部が今でも主流。
  高蔵寺ニュータウンは東部の中心。
  当初は1000ha、10万人という計画だったが、センターの南東にある
  自衛隊の基地が移転しなかったため、8万人の街として開発。
 ・開発前、この付近は松が生える山で、かなり造成をして開発。
  その頃、土地を造成する重機が登場し、土木屋はそれを使いたいと考えていたが、
  デザイナーは土地を残したいと考え、尾根筋に高層、斜面に中低層、その外に
  戸建て住宅と考えていた。
 ・ワンセンター方式で、尾根筋に沿って高層棟という計画だった。
  年度ごとに住戸を建設したため、藤山台・岩成台の東側は中層の平行配置で
  作った所もある。
 ・藤山台の北西部分は、尾根筋に沿って、
  ポイントハウスも取り入れながら配置している。
 ・住区サービスセンターには、スーパー、郵便局、銀行、集会所、本屋、薬屋など、
  日常生活で必要なものを我々(曽田先生中心に)が調べて計画した。
 ・高蔵寺ニュータウン内の住戸数は18,000戸。そのうち10,000がURが管理している。
  URが管理しているうち、8,000が賃貸。空き家がものすごく多く、
  賃貸の13%が空き家。
 ・戸建て住宅地は、最初は100坪の戸建て住宅を売っていたが、それだと売れないので
  60~70坪くらいに小さくして売られている。
 ・センターの再開発として、何が欲しいかを住人に尋ねたところ、
  1位になったのが何でも揃ってる本屋。今の本屋は普通の本屋。
  隠れ家レストランという意見もあった。ホームセンターも住人からの意見だった。
 ・「春日井東部ホットステーション」は、現在は、11グループがそれぞれの活動を
  日割りでやっているが、本当は情報センターになればよい。
 ・高蔵寺ニュータウンはワンセンター方式
  センターから先に作るわけではない。センターができる以前に入居した人のため、
  藤山台、高森台、岩成台に住区サービスセンターがもうけられている。
  住区サービスセンターには、スーパー、郵便局、銀行、集会所、本屋、薬屋など、
  日常生活で必要なものを我々
(曽田先生中心に)が調べて計画した。
 ・サービスセンターは、その後流通の変化やセンターができたことによって
  衰退していった。
  住区サービスセンターの建物はURが持っている。

■ゆずりは
 ・NPO法人いずみクラブが運営する就労移行支援の事業。
 ・高森台の住区サービスセンター内にある空き店舗、4カ所を利用して
  運営されている。
 ・連続した4つの店舗が、東側から、事務所、カフェ、作業所が2つ(多目的室が2つ)
  として使われている。

1
高蔵寺ニュータウン全景 

アピタにある「東部ほっとステーション」

ペデストリアンデッキの様子


住区サービスセンターの空き店舗(1階)を利用した「ゆずりは」

「ゆずりは」内部

東部市民センターで曽田先生からの説明

高蔵寺ニュータウンの全体模型