2.2 建築設計エンジニアリング本部内に プロダクションセンター新設(鹿島建設の例) |
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鹿島建設は、IT技術を積極的に経営に取り込み、業務の合理化・効率化を目指す経営指針「KDNS(Kajima Digital Network Service)」を2000年度春に策定し、生産系の基幹業務(積算・見積・調達・損益管理等)の電子化を進めている。特に、設計から施工までを通して同じデータベースを共有できる「設計データベースCADシステム(以下DB-CAD)」については、2000年4月より業界に先駆けて本社の設計部門、並びに全国の支店設計部に展開しているが、設計部門と施工部門との業務ソリューションをより合理化かつ効率化し一元化を図るために、2001年4月1日より建築設計エンジニアリング本部内に「プロダクションセンター」を新設した。 本部署を新設することにより、従来外部に委託していた設計および施工時(見積・施工図作成・その他加工図作成等)にかかる外注費を年間で25%程度節減することを可能とし、生産性の向上と工事利益の確保・向上を図ったとしている。本部署は、建築設計エンジニアリング本部と本社の施工支援部門である建築技術本部、東京支店からの社員で構成され、さらに関連会社から派遣のCADオペレータを含めて50名程度で発足された。 2001年度は同社設計施工物件を中心に、東京支店管轄の30件の物件を実施し、逐次他社設計物件にも対応していく予定で、2003年度には全国の支店へ展開する方針である。 2.2.1 プロダクションセンターの業務内容 本センターは、建築・構造・設備分野の統合DB-CADを活用し、施工側の情報を早期に設計に取り組み、実施設計図および施工図の作成、施工数量の算出(積算)を一部署にて一貫して実施することにより業務の効率化と外注費の低減、工事利益の向上を図ることを目的に設立された。図―2.2.1にプロダクションセンターの位置付け、図―2.2.2に導入の効果、図―2.2.3に建築設計エンジニアリング本部のの新組織図を示す。 図−2.2.1 プロダクションセンターの位置付け 図−2.2.2 プロダクションセンター導入の効果 図−2.2.3 新組織図 なお、本センターの業務内容は次の通りである。 @実施設計図の作成 A実施設計を行う上での必要な施工情報の提供 B見積りにおける各種数量の提供 C施工図・仮設計画図の作成ならびに施工数量の算出 |
DB-CADは、ただ線を引くだけのこれまでの2次元CADとは異なり、設計初期段階からオブジェクト機能を持ったパソコン系3次元CADを用いてバーチャルな建築モデルを作り、構造躯体・建具・仕上・設備配管・ダクト・機器等の仕様・数量などの属性をデータベースに蓄積できるCADシステムである。DB-CADを利用することにより、平面図・立面図・断面図などの各種図面は3次元モデルから切り出され、仕上表・建具表や各種数量表はデータベースから自動的に作成される。構造躯体においては、躯体データベースから建築生産情報システム(LINCS)に引き継がれ、精算見積りの数量提供及びコンクリート躯体図、鉄筋・鉄骨に関する各種製作、組立図等に加工されその数量も算出される。 設備情報は設備データベースから機器表・器具表・仕様書・数量表が作成され、精算見積システム・LINCSと情報連携するとともに、設備施工図への転用利用を図っているとのことである。 |