「共鳴する為に」

− 保存・再生そしてこれからの京都における
日本の 文化・美を、守る、残す、伝えるための新しい提案 −

桜町 恭子 君 (京都建築専門学校)

 伝統的建築の本質を「守り、残し、伝える」現代建築の提案である。具体的には「桂離宮」の特徴を、(1) 昼と夜、(2) 雁行する造り、(3) 点から線そして面へ、 (4) 正方形にみる空間モデュ−ル、(5) 水が意味するもの、(6) 名月を愛でる、の6つの視点からとり上げ、それらを簡潔に図式化し「桂の里ミュ−ジアム」という現代建築の空間へと変換したものである。桂離宮についての歴史的理解をふまえて、その空間的意味や、そこでの人間的行為の意味を適確にとらえている点、 そしてそのようにとらえられたポテンシャリティを現代に、しかも建築的に再構成してミュ−ジアムとして提案している点は、作者の建築設計へのアプロ−チの豊さが、うかがわれるものである。歴史的な環境とのかかわりなしには建築設計がありえない以上、その環境の本質を人間の方に引きつけて適確にとらえ直すところから出発している作者の態度は、高く評価されるのもである。