Environmental revolution
− 2001 Kyoto city −

富田 祐一 君 (大阪工業大学)

 2001年に環境庁が環境省に格上げされることを見込み、京都疏水の蹴上 インクライン跡地に、環境省庁舎の建築計画を提言している。環境との共生を考えながら発展してきた京都が近年その力を失いつつあるとの観点から、環境について考えるにもっとも相応した場所としてこの地を選定している。
 自然の五原則である、水・木・風・地・火をテ−マとした中低層の5棟を、 山裾から上に向かって細長く一列に分割配置し、うまく景観にとけこませている。これらの建物の中央を貫く廊下は、風や光といった自然の変化をうける中間領域的な環境である。 廊下とオフィスとの境界は、ガラスとスクリ−ンの壁で構成され、上部が天空に吹き抜けた空間は軽快で透明感があり評価できる。既存のインクラインを再生し、棟間の交通 手段として利用する試みの提案も好感が持てる。
 中央省庁を一括して東京から移転する構想に対して、各省庁をそれぞれの役割に相応した地域に分散する視点から構想された明快な提案である。