齋藤 み穂 君(関西大学)
建築は社会のシステムを人間の琴線に触れる美しい形態で表現する行為である。
学級崩壊に見られる教育の荒廃が世紀末の現代社会の歪を凝縮している。知識の一方向伝達教育システムや家庭環境が起因しているのであろう。この作品は地域が人間(市民)を育む事を示唆している。それはかっての農村社会の閉鎖的なコミニュティではなくインタ−ネットにより世界に開かれた地域である。11世紀、ヨ−ロッパ中世都市に誕生した大学やレッチワ−ス田園都市に見られる学びの場は街中に散在し、地域全体がキャンパスとなっている。地域コミュニティの中でグロ−バルな社会に対応できる市民が生まれる。
設計者は建築家の社会的責務を認識している。軸足をしっかりと社会に根ざして、肩の力を抜いた日常の言葉で問題解決策を提案している技量 と社会的スタンスに敬意を表する。
(香西)